◆飛び立つプロペラ機、疾走する特急、高速道路に覆われていない日本橋。静止した風景だけでなく、動く物体まで細密にCGで再現した技術力には目を見張る。しかし、そこで繰り広げられる人情劇は小ネタの羅列になってしまった。(50点)
滑走路から飛び立つ双発プロペラ機、西に向かって疾走する特急こだま、そしてまだ高速道路に覆われていない日本橋。静止した風景だけでなく、動く物体まで細密にCGで再現した映像表現の技術力には目を見張る。しかし、そこで繰り広げられる悲喜こもごも人情劇のスケッチは小ネタの羅列になってしまい、肝心となる物語の足を引っ張っている。登場人物をやたら多くしすぎた弊害か、おのおののエピソードがストーリーを構成する要素をなしていない。文学青年と恋人、孤児の3人に絞ればよいものを、焦点を拡散しすぎてだらだらとしたまとまりのない印象を受ける。
作家志望の茶川はいまだにヒロミを思い続け、ストリッパーとなったヒロミも茶川を忘れられずにいる。そんな時茶川と一緒に暮らす淳之介を親権者が連れ戻しに来るが、茶川は芥川賞を取ることで淳之介と一緒に暮らし続けることを主張する。
いきなりゴジラが東京を破壊し、鈴木オートのオヤジが家族を救いにくるというシーンから始まる。観客の度肝を抜きスクリーンに引き込むテクニックには思わずひざを打つ。そして鈴木オートに女の子がやってきて、新しい環境になじめない心境を細やかに描くことで彼女がキーパーソンになるのかと思わせておいて、実はこの続編の主人公は茶川に変わっている。一方で前作の語り部・六子は完全に脇へ追いやられ、詐欺に手を染めた幼なじみを改心させる手伝いをするだけ。さらに鈴木が戦友の霊と飲み明かしたり、トモエが昔の恋人と再会したりと、なかなか閑話休題とはならない。
もちろんそれぞれの挿話にほろりとさせるオチがついているのだが、その旺盛なサービス精神が返って押し付けがましく、満腹感を通り越して胃もたれを起こしてしまう。すらりと伸びた手足と小顔の俳優たちにもリアリティは薄く、薬師丸ひろ子ともたいまさこだけが当時の日本人らしい体格に見えた。
(福本次郎)