96時間 - 佐々木貴之

◆アクションシーンは高ポイント獲得(80点)

 リュック・べッソンが製作と脚本(ロバート・マーク・ケイメンとの共同)を手懸け、べッソン製作作品で撮影を担当していたピエール・モレルの監督第二弾作品。

 かつてはCIAのスゴ腕工作員だったブライアン(リーアム・ニーソン)は、カリフォルニアで隠退生活を送っている。ある日、愛娘キム(マギー・グレイス)が友人アマンダ(ケイティ・キャシディ)とパリへ人気バンドU2の追っかけ旅行に出かけ、ブライアンはキムのことをやたらと心配する。この心配事が想像を絶するかのような形で実現してしまうのである。キムとアマンダが宿泊先のホテルでアルバニア系人身売買組織の連中に拉致されてしまったのである。ブライアンはキムを取り戻すべく警察の手も借りず、CIA時代に習得したスキルを活かし、復讐に燃える一匹狼オヤジとなってあらゆる手段を駆使して極悪非道な組織に挑み、暴れ回る。

 単純明快で分かり易い上に、見せ場であるアクションを随所に散りばめて90分弱でまとめ上げたという如何にも良質的なB級娯楽アクション映画である本作。

 序盤ではブライアンが如何に娘キムを愛しているか、心配しているかを観る者の印象に残るようにじっくりと念入りに描いている。キム拉致後は、ブライアンが愛娘のためなら何でもやってやると言わんばかりに暴走し、暴れ回る。敵たちに対して殴る蹴るは当然。それどころか普通に射殺してしまったり残酷さ丸出しの電気ショック拷問を平気な顔をしてやってのけるのである。観る者はブチ切れたブライアンのやり過ぎに驚愕されっぱなしとなるはずだ。しかもこのような描き方は、痛快アクション映画らしさ全開で面白さを遺憾なく発揮しているので素直に良いと言い切れる。

 とにかくアクションシーンは高ポイント獲得だ。銃撃戦、カーチェイス、一度だけの爆破という具合にアクション映画に必要な三大演出はしっかりと用意されているし、ツボも押さえられている。中でもリーアムが魅せつける格闘アクションは特筆すべき大きなポイントだと断言できる。リーアムはアクションスターではないが、本作では他のアクションスターに負けないほどのキレ味抜群で威勢の良いファイトを魅せつけている。しかも五十代半ばを過ぎたオヤジによる年齢を感じさせないほどの元気な暴れっぷりという点が何よりも最高であり、好印象なのである。リーアムを起用したからこそ本作がここまで面白い作品に仕上がったと言い切れる。リーアムの一つ年上である沈黙オヤジことスティーヴン・セガールは現在でもアクションスターとして第一線で活躍している。そんなセガールが本作のリーアムの姿を観たら「自分はもっと頑張らなければ……」と思うはずだ。セガールが本作の主演であったらということを考えると、単なるセガールらしい定石通りのB級娯楽アクション映画として仕上がっていただろうし、面白さもパワーダウンしていたことだろう。リーアムは素晴らしいアクションもできるということが証明され、おまけにセガールの上を行ってしまったのである。

 本作こそ胸のすくような醍醐味を感じられる最高傑作だ。しかも、本当に面白いB級娯楽アクション映画の本来の姿だ。世のアクション映画ファンは、面白さを存分に堪能できること間違いなしだから必見だ!!

佐々木貴之

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