96時間 - 町田敦夫

◆娘をさらわれたリーアム・ニーソンが過激にキレる!(70点)

 うるさ型の映画ファンや評論家からは時にボロクソにけなされることもあるが、アクション映画のストーリーメーカーとしてのリュック・ベッソンの手腕は、誰もが認めるところだろう。初期の『ニキータ』や『レオン』から、製作・脚本に専念するようになってからの『トランスポーター』や『ダニー・ザ・ドッグ』まで、特異な主人公を創造し、彼(女)らを激流のような物語の中で泳がせる彼の力量は、余人の追随を許さない。

 やはりベッソンが製作・脚本を担当した『96時間』も、そんな系譜に属する作品だ。上記の作品の主人公たちと比べると、学者タイプのリーアム・ニーソンが演じる元秘密工作員のブライアンは一見地味だが、さらわれかけた娘からのSOSコールを受けるやいなや、いち早く事態を察知しICレコーダーをセット。修羅場に臨めば、考えるより先に体が反応するプロの凄みを見せてくれる。

 カリフォルニアから、娘が消えたパリに乗りこんだブライアンは、工作員時代に身につけたノウハウを駆使して、彼女がアルバニア系の人身売買組織にさらわれたことを突きとめる。タイトルの『96時間』とは、データ上、失踪者を奪還できるリミットのことだ。現地の警察にも頼らず、法律さえ無視してひたすら手がかりを追うブライアンのキレぶりは、正義の主人公どころかむしろアウトロー。「娘を取り戻すためならエッフェル塔でも倒す」という言葉も、あながちオーバーではないと思えるほどだ。

 ベッソン組の撮影監督だったピエール・モレル監督は、盟友が紡ぎ出すストーリーをよどみなく形にしてみせた。建設現場(実は売春窟)でのカーアクションから、マフィアのアジトでのガンファイト、人身売買オークションへの潜入から、アラブ人との半月刀での格闘と、わずか93分の作品に、よくぞこれまでと思うほどの見せ場が続く。短くまとめた分、特段の友情や裏切りやどんでん返しは仕込まれていないが、消えた娘の手がかりを次々と追うだけの直球勝負でこれだけ面白い映画ができてしまうのは逆に驚き。“異人たち”が暗躍する花の街の裏面も興味深い。

町田敦夫

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