50歳の恋愛白書 - 佐々木貴之

◆現在と過去を描き分けて魅せる波乱万丈の人間ドラマ(60点)

 50歳のピッパ・リー(ロビン・ライト・ペン)は30歳年上の人気作家ハーブ(アラン・アーキン)と結婚して以来、二人の子供も立派に育て上げた理想の妻、良妻賢母だった。だが、ハーブが体調を崩してからはマンハッタンからコネチカットに移ったピッパは幸せだと思う反面、コミュニティーでの老人たちと過ごす日々に満足感が得られなかった。ある日、15歳年下でバツイチの引きこもりニート青年クリス(キアヌ・リーヴス)と出会うが、この出会いがピッパを少しずつ変えていくことに……。

 監督はアーサー・ミラーの娘、ダニエル・デイ=ルイスの妻としても知られ、作家、脚本家、女優としても活躍するレベッカ・ミラー。製作総指揮を務めたのは、あのブラッド・ピット。43歳のロビン・ライト・ペンが50歳のピッパに扮しているが、これが違和感をまったく感じさせない。しかも、見事に演じ切っている。そして、45歳のキアヌ・リーヴスがピッパの恋の相手である35歳のクリスに扮し、こちらもまた違和感をまったく感じさせない。ウィノナ・ライダー、ジュリアン・ムーア、モニカ・ベルッチといったキャスティングの豪華さもスゴい!!

 この恋愛ドラマは、主人公ピッパ・リーの現在と過去を描き分けて魅せる波乱万丈の人間ドラマでもある。中でも過去の回想シーンは第一の大きな見所であり、非常に印象深い。若き日のピッパを演じるのは、ブレイク・ライブラリー。ピッパは人には言いたくない、知られたくない、隠しておきたいようなダークな少女時代、青春時代を過ごした。相当な苦労も経験しており、ドラッグに手を染めた母との確執は、ピッパの人生の中でも最大の痛手であったことがじっくりと伝わってくる。挙句の果てには、ピッパ自身もドラッグやセックスに溺れてしまっていたのである。そんなピッパが如何にして理想の妻、良妻賢母となることができたのか?!

 最大の見所と言えば、クリスと出会ったピッパが自分らしさを少しずつ取り戻して良い方向へと変わっていく成長ドラマである。変わっていくのはピッパだけではない。引きこもりニート青年のクリスも仕事を見つけて働く。このようにお互いが恋を通じて良い変化を遂げているのである。これを観る限り、恋愛はお互いに良い変化をもたらすという素晴らしさをレベッカ監督が伝えているように捉えることもできる。

 「セカンド・ライフは自分らしく生きていこう!!」ということをこっそりと教えてくれる大人向け恋愛映画だ!!

佐々木貴之

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