◆強烈な個性とセンスのいい「テキトーさ」がいい(70点)
ヒップホップ界のスター、ラッパ我リヤが主演した近未来スポーツ・アクション映画。
まあ見るからに低予算で、そのクォリティはビデオ映画並。だが、決してつまらない映画ではない。そこが実に意外だった。(失礼)
まず、ふんだんに使っているCGが面白い。嘘っぽいのをわかった上で、確信犯的に楽しく使っている。こういうのは非常に好感が持てる。
また、カメラワークが案外良くて、アクションシーンがなかなか見れるのだ。バスケットボールを、これだけ楽しく、ばかばかしく、迫力をもって演出できるというのは大したものだ。
さらに、音楽がいい。あれ、映画音楽的にかなりいけるよ。意外なまでに感動的なスコアだ。それに比べると挿入歌のラップはイマイチだった。ラッパ我リヤ、そっちが本業じゃなかったのか?
だが彼ら3人は、ラップはともかく、役者としては非常にいい味をだしている。演技だって下手じゃないし、セリフまわしは本当にカッコイイと思う。確かに素人っぽい荒削りな部分はあるが、持っているキャラがいいのだ。
あと、私のような80年代アイドル好きにとっては、増田未亜が出演している事が、ある種の琴線を刺激されるファクターであろう。久々に見たが、さすが美少女は歳を取っても美人である。彼女の不気味というか不思議というか、独特の個性がまたいい。ぜひまた人気復活して欲しい。
全編ビデオ撮りだし、優先度の低い場面は適当にカットしているといういいかげんな作りだが、パンチのあるものを作ろうという意欲を感じる。私は高く評価したい。
個性的で出来のいいアクションシーンと音楽、そして屈託の無いパクリを楽しむ本作は、意外にイケテル映画である。オシャレなカップルが、お酒でも飲んだあとに、レイトショーで気軽に楽しむにはうってつけだと思う。
(前田有一)