ジョシュ・ハートネット主演のヴァンパイアムービー（50点）
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トビー・マグワイア主演映画『スパイダーマン』シリーズの監督サム・ライミ。以前は『悪魔のいけにえ』等ホラー映画を作っていたことで有名だが、監督だけではなくプロデューサーとしても活躍している。あの大ヒットホラー『THE JUON／呪怨』も彼がプロデュースした。そしてこの秋また彼がプロデュースした映画が公開された。『30デイズ・ナイト』というヴァンパイア映画だ。
監督はデヴィッド・スレイド。今回が初監督作品になる。2006年にパトリック・ウィルソン、エレン・ペイジ主演の『ハード・キャンディ』というインディペンデント映画が公開された。ジャンルはスリラーに当てはまるだろうか。サンダンス映画祭で話題を呼んだ作品だ。男性にはかなり観るに耐えがたい映画だが、スマッシュヒットと飛ばした。この『ハード・キャンディ』のプロデュースを担当したのがデヴィッド・スレイドである。
このヴァンパイア映画『30デイズ・ナイト』の主役エベンを演じるのはジョシュ・ハートネット。彼がこの映画に出演するのは意外だった。駆け出しの役者ならともかく、知名度の高い彼が何故いまさらヴァンパイア映画に出たのか。今年はこのヴァンパイア映画の他に、サミュエル・L・ジャクソンが出演している『RESURRECTING THE CHAMP』という映画にも主演している。この映画はあまり芳しくない結果だった。最近ジョシュ・ハートネットはあまり良い映画に恵まれていないようだ。『30デイズ・ナイト』でエベンの妻ステラを演じるのはメリッサ・ジョージ。2005年公開の『悪魔の棲む家』の妻役で知られているだろうか。今年は実話を基にしたロイ・リヴィングストン主演映画『MUSIC WITHIN』にも出演し、確実に女優としてのキャリアを伸ばしている。『30デイズ・ナイト』には、その他にダニー・ヒューストン、ベン・フォスター等が出演している。
アラスカにある最北の町バロウ。このあたりでは1 年に1度太陽が30日間昇らないという。バロウの警察官エベンは妻のステラとは、同じ町に住むもののお互いに話しもせず、疎遠になっていた。30日続く夜が始まる前の日、この町で不可解な出来事が起きる。町の住人が所有するソリ用の犬が1匹残らず殺されたのだ。その調査にあたるエベンだったが、長く続く夜の始まりとともに恐ろしい出来事を体験する事になるのだった。
この『30デイズ・ナイト』は、予告編を観て気になって観に行ったが、ちょっと予想と違うというか、予告編の作りがうまかったというか、ヴァンパイア達の設定がギャグに等しかった。予告編では、アラスカの地下に棲みついているヴァンパイアが30日続く夜の間だけ地上に現れ人間狩りをする、というような印象を受けたが、実際はもっと単純だった。
というのも、この映画には旅に出たヴァンパイアの楽園探しという言葉がぴったりなのだ。アラスカのバロウでは30 日間太陽が昇らない。30日間も夜が続くとは、なんでもっと早くここに来なかったんだ、とヴァンパイア的には思ってしまうだろう。人間でいう夏休みのようなもので、ヴァンパイアにとって1年の中のこの30日間だけは毎日血を浴びる様に飲めるパーティーみたいなものだ。その場所を求めてヴァンパイアはやって来たのだ。
この映画はアクションホラーというジャンルに入ると思うが、全く怖い映画ではない。スタイリッシュな映像を堪能する、ウェズリー・スナイプス主演のヴァンパイア映画『ブレイド』の様な感じだ。確かにあそこまでハチャメチャではなく、暗めで不気味なのだが。この『30デイズ・ナイト』という映画は米国では拡大公開の作品だ。しかし、かなりB映画よりの趣向が凝らしてある。万人向けの映画というよりはマニア向けの映画だろう。さすがサム・ライミのプロデュース映画である。ラストはわりと気に入ったが、期待して観る映画ではない。勢いで観る映画だ。
（岡本太陽）
