20世紀少年<最終章>ぼくらの旗 - 渡まち子

壮大なサーガをよくぞまとめた(65点)

20世紀少年<最終章>ぼくらの旗

© )1999,2006 浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館 © 2009 映画「20世紀少年」製作委員会

 ついに完結の、本格科学冒険映画3部作の最終章だ。世界大統領にまで登りつめた“ともだち”が支配する、ともだち暦3年(2017年)。オッチョやカンナらは独裁と人類滅亡計画に立ち向かう。しんよげんの書の内容、“ともだち”の正体、行方不明だった“あの男”の帰還。運命の日8月20日を迎える中、カンナが計画した野外音楽フェスティバルが幕を開ける。

 原作は単行本で全24巻(20世紀少年が22巻、21世紀少年が2巻)に及ぶベストセラー・コミック。熱烈な原作ファンはあまりに唐突なその終わり方に、描き逃げとまで非難したそうだが、原作とは異なる展開を見せる映画は、分かりやすい答えとクライマックスを用意している。これは堤監督というより、脚本に参加した原作者の浦沢直樹と長崎尚志の“おとしまえ”なのだろう。魅力的なのは、やはりコンサートの場面だ。人々に希望を与えたあの曲が音楽的に名曲なのかはさておき、やはりここは歌わねばならない。そして“ともだち”の正体が明かされ、裁きの結末が。この作品の主題は、“ともだち”が誰なのかということよりも、“ともだち”は何だったのかということだ。なるほど確かにそうだし、そのメッセージは映画からきちんと伝わる。だが個人的には、原作にある「ともだちとは、なってと頼まれてなるものではない」が、もうひとつの大切なテーマだと思っているため、このセリフが削られていたのは残念だった。

 映画がひとまず終わりエンドロールが流れるが、これから先に重要なシークエンスがあるので、絶対に席を立ってはいけない。ある有名若手俳優が登場する、映画ならではのサプライズもある。ケンヂは自らの過去に決着をつけるため、ともだちランドのボーナスステージ(ヴァーチャルアトラクション)に入り、過去の世界でするべきことをする。ここで、なぜ“ともだち”が誕生したかが非常に丁寧に描かれているのが“映画的”なところだ。観客が求める安心感を提供することが、長い長い本作を終わらせる手腕だと言える。もっとも、このどこか幸福感に満ちたラストはあくまでもヴァーチャルなもので、現実ではない。つまり強烈なアンチテーゼであることを思えば、やるせない結末なのではあるが。何はともあれ、壮大なサーガをよくぞまとめたと感心している。膨大な数の登場人物をさばいた労力に、心からお疲れ様でしたと言いたい。いや、ここは「みなさんと駆け抜けた科学と冒険な日々は永遠に」と言うべきか。

渡まち子

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