1911 - 福本次郎

革命の偉大な成果は、数え切れないほどの無名の兵士や市民の犠牲の上に成り立っていることをあらためて考えさせる作品だった。 (点数 60点)


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破たん寸前の封建主義、外国による植民地化。朝廷は軍閥に頼り、列
強は既得権益の甘い汁を手放そうとはしない。革命の父・孫文はそん
な二重苦から同時に中国を解放しようとする。彼の壮大な夢は言葉と
して語られるうちに輪郭を持ち始め、同士の血によって形になってい
く。映画は辛亥革命の端緒となった武昌蜂起を軸に、孫文の大統領就
任、ラストエンペラーの退位、袁世凱の暗躍までを描く。

【ネタバレ注意】

米国で華僑相手に孫文が革命資金を募る一方、盟友・黄興は革命軍を
率いて広州総督府を襲撃するが反撃に会う。黄興らは態勢を立て直し
武昌蜂起を成功させるが、朝廷は袁世凱を鎮圧に差し向ける。

孫文はロンドンに飛んで欧米各国に清朝に未来はないと訴え援助を控
えさせる。袁世凱も朝廷からの支援なしにはこれ以上の軍事行動を拒
否し、革命は複数勢力による駆け引きに変貌する。もちろん武力衝突
があった地域では多くの若者が命を落とすが、むしろ孫文対袁世凱の
頭脳戦心理戦といった様相を呈してくる。このあたり、現実を分析し
朝廷や日米欧のパワーバランスをうまく利用し立ち回りつつ己の野心
を実現していく袁世凱の狡猾さが際立っていた。

物語は時代の大きなうねりに呑み込まれた人々の濃厚なドラマにする
ために、戦場を駆け巡った黄興にスポットを当てる。革命の偉大な成
果は、数え切れないほどの無名の兵士や市民の犠牲の上に成り立って
いることをあらためて考えさせる作品だった。

福本次郎

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