中居正広の個性を評価したい(65点)
伝説的TVドラマを名脚本家・橋本忍が自ら改訂して再映画化したのが本作。理髪店を営む清水豊松は、突如、戦犯として逮捕される。軍隊の非情な実態や、弱者に犠牲を強いるB・C級戦犯裁判の不公正に、誰もが怒りを覚えるだろう。この物語がTV草創期の1958年に生まれたことが驚きだ。旧作の主演は名優フランキー堺だが、彼の演技を真似るのではなく、平凡で誠実な青年というイメージで演じた中居正広の個性を評価したい。ただ、希望の光が見えた裁判が不条理に覆されたからくりを掘り下げてほしかった。21世紀の今だから語れる事実もあるはずと推察できるだけに残念。
(渡まち子)