フライト・ゲーム - 青森 学

数あるソリッドシチュエーションサスペンスのなかでも平均点以上の出来映え。(点数 86点)


(C)2014 TF1 FILMS PRODUCTION S.A.S. – STUDIOCANAL S.A.

高度1万2000メートルの上空でNY発ロンド行きの旅客機がハイジャックされた!

飛行機に同乗する航空保安官のビル・マークス(リーアム・ニーソン)は携帯するページャーに脅迫のメッセージを受信するのだが、内容から判るのは犯人が機内に居ることだけ。
空港で待機中の際にも独りウィスキーをあおり、娘を喪った孤独を打ち消そうとするのだが、そんな緊急事態に本来の生真面目さを取り戻し、職務を遂行しようと我に返る。

だが、犯人の手掛かりは杳として知れず疑惑はビル本人にも向けられていく。アルコール依存症による心神耗弱か?

それとも、彼の言うように他に犯人がいるのか息つく間も無い展開の早さに固唾をのむ暇もない。

原題がNON-STOPとあるように中だるみのない緊迫感溢れるストーリー展開が売りだ。上映時間も1時間47分とコンパクトに収まっている。

第1回目の殺人は犯人が予告した通り起きるのだが、それが偶然の要素も犯人のコントロール下にあり少々出来すぎのような気がしたけれど、それがまた犯人の得体の知れない邪悪さを想像させていっそう恐ろしくなる演出が巧い。中盤まではやはり主人公の自演なのか、観客の疑いが主人公にも向けられるので安心して見ていられない展開はまさにサスペンスの王道と言って良いだろう。

周囲から疑いの目を向けられながらも孤軍奮闘するビルだが、この孤独なヒーローの情熱はこの映画を牽引する動力のひとつになっている。こういう役を演じさせるとリーアム・ニーソンは実に光る。

手に汗握るサスペンスフルな展開に目を離すヒマが無いなか、登場人物のバックグラウンドは全て台詞で説明してしまっている。ではあるが、主人公の過去は必要な時にその都度小出しに明かされていくのでストーリーの流れを止めず過不足無く厚みをもたらしている。本来ならば干渉し合うテンポの良い展開とドラマが両立しているところがこの作品に奥行きを与えることに成功している。難点を挙げれば主人公を取り巻く全ての人間関係は台詞でしか情報を得ることが出来ないので彼らの台詞を注意して読み取れということになる。つまり察しが良く無いと映画に置いてけぼりを喰らうことになる。それがまたノンストップサスペンスと云われる所以なのだが。この映画を見る心構えとして、上映前にちゃんと用をたしておきましょうということだ。一度乗ったら最後、解決するまでは降りられない空の旅へようこそ。

青森 学

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