デビル - 福本次郎

高まる緊張感に思わず息をのんだ。(点数 50点)


(C) 2010 MRC II DISTRIBUTION COMPANY LP. ALL RIGHTS RESERVED.

洞窟の天井から垂れさがる鍾乳石のように魔天楼が下に向かって伸び
る。何の変哲もない大都会の風景なのに、映像の天地を逆転し感情を
不安にさせる音楽を加えて、ただならぬ雰囲気を醸し出す導入部は、
邪悪の気配を濃厚に意識させる。映画は、5人の男女が閉鎖空間で一人
また一人と不可解な悲劇に巻き込まれていくなか、生き残った者が相
互不信に陥って、自分だけは助かろうと利己的な本能をむき出しにし
ていく姿を描く。あっさりと命を奪わず、恐怖を存分に味あわせてか
ら殺す、その手口が非常に“悪魔”的だ。

高層ビルのエレベーターが突然停止、男3人女2人が閉じ込められる。
管理センターで内部はモニターできるが音は拾えない、逆に管理セン
ターからの指示は内部に伝わる。そんな中、断続的に停電、暗闇でセ
ールスマンに鏡の破片が突き刺さる。

信心深いヒスパニック系警備員がモニター記録に不気味な顔を見つけ
る。それは彼が母親から聞かされていた悪魔のイメージ。だが、エレ
ベーターの中の人間を傷つけ殺意を露わにしているのにもかかわらず、
周囲の者は誰も彼の話に耳を貸さない。一方で5人の男女に逃げ場はな
く、お互いがお互いを殺人魔ではと疑い、己のエゴをさらす。

悪魔はまるで悪意を貪っているかのごとく、彼らの憎悪が強ければ強
いほど活動をエスカレートさせる。停電し何も見えず、ぶつかる物音
に想像力が刺激され、高まる緊張感に思わず息をのんだ。

福本次郎

【おすすめサイト】