127時間 - 福本次郎

自分の人生はひとりだけで生きてきたのではない、多くの人々と関わって生かされてきたのだと気付く。(点数 70点)


(C) 2010 TWENTIETH CENTURY FOX

強靭な意志は時として人間に限界を超えた力を与えてくれる。身動き
がままならない状況を独力で切り抜けなければならない。襲い来る渇
きと空腹、痛みと絶望、映画は砂漠に取り残された主人公の壮絶な体
験を客観視するとともに、彼の脳裏に浮かぶ楽しかった思い出とこれ
から歩むであろう未来を映像化していく。そこにあるのは生まれ、今
まで生きてきたことへの感謝。明るい性格ではあるが、干渉を嫌い群
れるのを潔しとしない彼が、自分の人生はひとりだけで生きてきたの
ではない、多くの人々と関わって生かされてきたのだと気付く。

キャニオントレイルが趣味のアーロンは単独行動中に谷底で落石に右
手を挟まれ、何とか岩を動かそうとするがびくともしない。食料も水
も体力も尽きていくなか、ビデオカメラにメッセージを残し始める。

鉄道の改札、スタジアムの群衆といった大都会の喧騒から離れて、人
工物がほとんどない荒野にアーロンが自転車で飛び出す場面に切り替
わる冒頭の変化が非常にスタイリッシュ。さらに女の子たちと地底湖
にダイブするなど、生の喜びがダイナミックな躍動感を持って描かれ
る。

一転して自由の利かなくなったアーロンが味わうのは生の苦痛と死の
恐怖。谷底から助けを呼ぶアーロンをとらえたカメラが上空高く舞い
上がり大地の裂け目を俯瞰するショットは、人間の存在の小ささと命
のかけがえのなさを同時に表現する素晴らしいシーンだった。

福本次郎

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