黄金の法 エル・カンターレの歴史観 - 前田有一

信者以外が見てこそ最高に楽しめる一本だ(60点)

 大川隆法率いる新興宗教団体、幸福の科学による長編アニメーション映画。中身は、ようするにこの団体の解釈による歴史を、タイムマシンで旅する少年少女の冒険に託して描くというものである。東映によって全国で公開されるので、何かの間違いで信者以外の子どもたちがこれを見て、これが本当の歴史だと勘違いしたら大変という作品である。

 ただし、信者向けのPR映画だという1点をしっかり理解した上でみれば、こんなに面白い映画はそうそうない。何を考えて毎回この団体の映画を公開しているんだか知らないが、東映も実に面白い会社である。おかげで、こういう珍妙な映画を、我々一般人も見る事が出来る。

 まず、宣伝文句が凄い。

 『「スパイダーマン」「ロード・オブ・ザ・リング」「X-メン」の最強ハリウッドVFXスタッフが集結!!』

 である。そのスタッフとやらが、これらの映画において、具体的に何を担当したかは書いていない所がミソである。たとえお茶くみだとしても、スタッフである事には変わりはないが、まさかそんなことはないと信じたい。

 次に、主人公の少年が通う、未来の学校の名前が素晴らしい。なんと、『ユニバーサル・ハピネス・サイエンス学院』である。ここは、宗教学の最高学府だそうである。脳内で日本語に変換した瞬間、一人で見ていた私でさえ、飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。

 さて、そんな『黄金の法』であるが、劇場用アニメとしては、いたって普通である。決して質が低いということはなく、むしろ立派なクォリティである。絵柄にアクの強さは無く、普通の人々にとって、とても見やすいアニメーション映画と言える。やたらと金色が多い点を除けば。

 のっけから現れる不思議な女の子も魅力的で、彼女に引っ張られ、様々な時代を行き来するストーリーも面白い。まったく退屈しないし、先が気になる良質なお話といえるだろう。神様が間違った歴史を語る点を除けば。

 しかしこの映画、信者以外で見る人なんているのだろうか? 私としては、むしろ信者以外が見てこそ、最高に面白い映画だと思うのだが。信者以外で唯一この映画に好意的(?)な、私の文章を見て、映画ファンのみなさんがはたして何というか、その声を聞いてみたい気がする今日この頃である。

前田有一

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