「家政婦のミタ」でブレイクした長谷川博己が妄想教師を、独自のメソッドを駆使して演じる学園ドラマ。(点数 65点)
©2013 映画「鈴木先生」製作委員会
勉強不足で、本原作がコミックスで、それが更にテレビドラマ化されていたことを筆者は知りませんでした。
物語は現代の教育現場を先生・生徒両視点でつづります。時にコミカルに時にシリアスに……。
【ネタバレ注意】
緋桜山中学の国語教師・鈴木先生は、教育現場の常識を打ち破り奮闘の日々。
しかし、理想のクラスを作る上で必要なスペシャルファクターとして一人の女子生徒 小川蘇美にバイアスをかけるうちに、その神秘的な魅力にとり憑かれ、中学教師というストレスの多い職場疲れも手伝って、ただならぬタダれた妄想が暴走をはじめます。
妻にも相談できないその妄想を奥様は時折自分の脳へ転送する特殊能力をもっているようなのです。
その妻が妊娠し、なおさら心配をかけてはいけないと、心の汗を大量にかきつつギリギリのところで自分を律する鈴木先生。
二学期が始まり、学内では生徒会選挙と文化祭の季節が訪れるのでした。
麻美の支え、生徒たちの成長に助けられ、教師として充実感のある日々を送るなか、OB・勝野ユウジが学校に立て篭もり、小川蘇美が人質にとられるという大事件勃発、どうする鈴木先生!
クライマックスはネタバレになるので少しだけ、、、、なんと小川蘇美は『マトリックス』のトリニティだったのです(笑)。
「厨房」と揶揄される中学時代は現代人が子供から大人への架け橋となる大事な時期。
先生方のストレスも並大抵のものではないのでしょう。
病み上がりの先生が不都合な相手をディレートする能力を身につけていたり、引きこもりOBの逸話は可笑しいけれど笑えません。
コメディ映画ながらのこの捻り具合は、世の中の複雑化・景気低迷に呼応していると思わずにはいられません。
何事も白黒つけるだけでなく、人となりをつくりあげるシステムにはグレーゾーンも必要だと訴えかけています。
観賞後、黒縁メガネとループタイが欲しくなりました。
■2012年 日本映画/上映時間:/監督:河合勇人/出演:長谷川博己、臼田あさ美、土屋太鳳、風間俊介、田畑智子、斉木しげる、でんでん、富田靖子 ほか
オフシャルサイト:http://www.tv-tokyo.co.jp/suzukisensei/
(中野 豊)