◆最後だからといってヘンに力まず、ユルいテイストの演出スタイルを貫いたことを評価したい(55点)
ハマちゃんとスーさんの名コンビによる人気シリーズもとうとうファイナルを迎える。一流企業の鈴木建設も近年の不況により業績悪化の一途をたどっていた。会長のスーさんこと鈴木一之助は責任を感じ、無期限の給料全額返還を宣言、周囲を驚かせる。そんなスーさんのために奮起した万年ヒラ社員・ハマちゃんこと浜田伝助は、得意の釣りの人脈から、大型受注に成功。会長賞で有給休暇をもらい、スーさんとともに憧れの北海道へと釣り旅行に出かける。
タイトルには20とあるが、正確にはスペシャル版を加えて22作目だ。ついにラストを迎えるのは、キャストの高齢化や健康状態よりも、ハマちゃんのようなお気楽社員を雇える社会ではなくなった世相を反映せざるを得なかったのかもしれない。物語の舞台は意外にも初めてとなる北海道だ。美しく雄大な大自然を舞台に、幻の魚イトウにチャレンジしたり、若者の恋を手助けしたりと、ハマちゃんは相変わらず大活躍する。だが、スーさんは、なんと病で倒れ危篤状態に。ファイナルでついに死人が…と心配した矢先、三途の川を前にして、お祭り騒ぎになるところがやっぱり釣りバカで、大いに笑わせる。このシリーズの良さは確信犯的なマンネリズムだ。ファイナルの割には、釣りの場面が少なすぎるのはちょっぴり不満だが、最後だからといってヘンに力まず、ユルいテイストの演出スタイルを貫いたことを評価したい。感動のフィナーレは、観客というより出演者の納会のようだった。ともあれ、長いシリーズを演じきったキャスト・スタッフにご苦労様でしたと言いたい。
(渡まち子)