寡黙な男の一途さが最高にクールと思える作品だった。(点数 60点)
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男は引きとめてくれるのを期待している、女は抱きしめられたいと願
っている。お互いの気持ちは同じなのに、小さなわだかまりと現在の
生活を捨てる勇気が持てず、あと一歩が踏み出せない。ふたりがもう
過去に戻れないことを悟るシーンの感情の揺らぎが切ないほどリアル
だ。燃え上がる恋、文通で育んだ愛。しかし、会えない時間が確実に
ふたりの隙間を広げ、いつしか冷めていく。映画は、紛争地を転々と
する兵士と女子大生の出会いと別れを通じ、封書という今や絶滅危惧
種となった通信手段に頼る男女の心の変遷を描く
【ネタバレ注意】
2週間の休暇で帰郷したジョンは女子大生のサヴァナと知り合い、たち
まちふたりは恋に落ちる。除隊後の再会を約束しジョンは部隊に復帰
するが、911テロが起き任務の延長を申し出る。
電話もメールも通じない僻地で常に危険にさらされているジョン。そ
んな状況で、サヴァナが綴った手書きの文にジョンはどれほど励まさ
れたか。便箋に文章を認めるのは、一方で自分自身を見つめ直す作業。
だからこそその言葉は脳裏にいつまでも残るのだ。
だが、突然音沙汰が途絶え、久しぶりに届いた便りはジョンにとって
は絶望に等しい知らせ。ジョンは国のために命をかけているのに、サ
ヴァナは目の前の幸せに縋る、彼女の裏切りが許せず手紙をすべて火
にくべるジョンの胸の内は痛いほどの共感を呼ぶ。彼の生き方は不器
用だが、寡黙な男の一途さが最高にクールと思える作品だった。
(福本次郎)