裸はもう、前半だけでお腹いっぱい(30点)
SM界のカリスマ団鬼六による、同名原作の映画化第二弾。主演は前作同様杉本彩。
年老いた美術評論家は、若く貞淑な妻(杉本彩)を愛していたが、肉体の衰えのため毎夜彼女を満足させることができずにいた。悶々とした日々を過ごしていた彼は、ある日、旧知の画家が遺した春画CGを見て愕然とする。数々のSM緊縛プレイを描いたその絵のモデルは、なんと自分の妻だったのだ。画家の妄想上の作品とはいえ、そのあまりにリアルな出来映えに、彼は妻が内面に隠し持つはずの、みだらな一面を引き出したい衝動にかられる。
さて、そこで男がどうしたかというと、若く才気にあふれた別の画家の男に、自らの若妻をそれとなくあてがうように仕向けるのである。これは、前作に比べるとちょいとリアルなエロさを感じさせる展開で、専門用語(?)でいう寝取られ好きの皆様にはなかなか嬉しい内容となっている。(いや、正確には寝取らせ、か)
しかしまあ、エロ小説であろうと映画であろうと、寝取られというのは世間一般の人々がもっとも受け入れ難いジャンルであろう。最愛の女が別の男とHするのを見て興奮するというのだから、男女問わず胸糞悪いと感じる方も多いはずだ。……しかしまあ、これを見るのはSM好きの人が多いからその辺は平気かもしれないが。
そんな前半は、若い画家とのセックスシーンが盛りだくさん。上になったり後ろになったりと、バラエティに富んだ体位で我々お客さんを楽しませてくれる。最初は夫に操を立てていた杉本彩が、ついに陥落してしまう過程がたまらない。
やがて彼女がオークション(?)にかけられる後半に差し掛かるが、ここから先はもう、やってる事が前作とまったく同じで区別がつかない。薄暗くて怪しげなどこかの広間で、杉本彩はじめ数名のナイスバディ清純派美人が陵辱されるシーンが延々と続く。これがまたとにかく長いのだ!
まず、杉本彩の柔軟性を最大限に生かした、前作よりグレードアップしたアクロバティックな緊縛ポーズの数々が楽しい。より過激になった強制放尿シーン(ホントにやってるようにみえますねぇ……)をはじめ、ヘア有り、剃毛跡のアップありの大サービスだ。モザイクがないだけで、露出度はAVとまったく変わらない。
しかしまあ、ここまでハダカばかり見せられると、いいかげん女の裸に酔う。正直、あまりに全裸場面が多すぎて私は疲れた。以前、AV製作会社でモザイクをかける仕事をしている女の子と話したとき、その子がその仕事に就いてからエロ気分がなくなったと嘆いていたのを思い出した。
それにしても杉本彩、あれだけ素晴らしいカラダをしていながら、『花と蛇2』ではあまりエロく感じない。彼女のあえぎ声は、好みもあろうがあまりエッチな感じがしないのである。また、どう見てもこの人に清純な奥様という役はありえないだろう。これは、演技力以前の問題だ。
あと、彼女の胸であるが、心なしか前作よりずっと大きくなってるような気がしてならない。そのくせ垂れてないというのはどうしてでしょう? 医学に疎いボクにはわかりません。
さて、そろそろまとめると、『花と蛇2 パリ/静子』は、杉本彩ほかのハダカを飽きるほど見たい人にはぴったりの映画だ。SM陵辱についてほぼやりつくした前作といったいどう違うんだといわれれば返す言葉もないが、主演女優もどうやら色々と努力しているあとが見えるし、無下に斬るのも忍びない。まあ、お好きな方はどうぞ、といっておこうか。
(前田有一)