次郎長三国志 - 福本次郎

男っぷりと義理人情に厚い性格で名をはせた清水の次郎長が、実は女房を一筋に思い続けていたという純情。映画は次郎長と子分たちの交流に妻との愛、チャンバラを盛り込むが、どのエピソードも中途半端でつながりが見えてこない。(30点)

© 2008「次郎長三国志」製作委員会

 「死ぬときは一緒だ!」と子分たちに発破をかけ、先頭に立って切り込む主人公。その男っぷりと義理人情に厚い性格で結束の固さを誇り、東海道一の暴れん坊と名をはせた清水の次郎長が、実は女房を一筋に思い続けていたという純情。映画は次郎長と子分たちの交流に妻との愛、そしてライバル組織とのだましあいとチャンバラを盛り込み、適度なユーモアを織り交ぜることで高齢者向きのエンタテインメントを目指したのだろうが、どのエピソードも中途半端でつながりが見えてこない。過去のヒットシリーズのエッセンスを煮詰めたつもりがうまく融合せずに空中分解を起こしているようだ。

 お蝶と祝言を挙げたばかりの次郎長は役人に追われて3年間の旅に出る。清水に戻るころには数人の子分を持つまでになっていたが、そこに相撲興行で夜逃げした男の面倒を見る。そんな時、甲斐の親分が次郎長の縄張りを狙っているという情報が入る。

 おそらく監督の頭には父親が撮った次郎長シリーズのあらゆるシーンが頭に入っているのだろう。それらの中から名場面を抽出して現代の俳優に演じさせる。しかし、物語の全体像が見えてこず、何を描きたかったのかよく分からない。そもそも、次郎長が親分に成り上がるまでの苦労やお蝶との恋も、そこに至るまでの過程が曖昧。敵対勢力との抗争もイマイチ盛り上がらない。

 機先を制するために甲斐に乗り込んだ次郎長は子分のほかにお蝶まで同行させ、その挙句お蝶は道中で死んでしまうのだが、このあたりの展開もやたらテンポがのろい。お蝶の闘病、そして薬代のために子分たちが自分の身内に借金して回るというくだりなど、中だるみが多すぎる。結局次郎長一家の仇敵ともいえる三馬政との戦いが映画のクライマックスになるのだが、その際に見せるチャンバラ大活劇も古い時代劇を見ているような躍動感のなさ。名の通った俳優をこれだけたくさん集められるマキノ監督の顔の広さには敬服するが、肝心の脚本にもう少し労力を割くべきだった。

福本次郎

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