庭から昇ったロケット雲 - 福本次郎

子供のときは「夢を持て」といわれるのに、大人が夢を追い続けていると変人扱いされるのはなぜだろう。映画は自作のロケットで宇宙に飛び出そうという途方もない計画を持った男を通じて、子供たちにそのメッセージを伝えていく。(50点)

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 子供のときは「夢を持て」といわれるのに、大人になっても夢を追い続けていると変人扱いされるのはなぜだろう。いい加減あきらめろとか家族のことを考えろとか、周囲の人間は夢から目を覚まさせようとする。「歴史は学ぶより作るべきだ」という主人公の言葉に象徴されるように、後世に名を残したのはみな夢をあきらめなかった人たち。映画は自作のロケットで宇宙に飛び出そうという途方もない計画を持った男が実行に移す様子を通じて、子供たちにそのメッセージを伝えていく。

 元訓練飛行士だったチャーリーはテキサスの農場にロケット基地を建設、自分で組み立てたロケットで宇宙を目指していた。ある日、ロケット燃料を大量に買い付けようとしたことからFBIに目をつけられ、政府機関から中止を求められる。

 はたして一個人の努力と財力だけで宇宙旅行は可能なのか。かつては天文学的数字の資金が必要な国家プロジェクトだったが、今は技術の進歩である程度のコストダウンも可能だろう。それでも一介の農場主が工面できる金額ではあるまい。さらにロケット用の特殊素材や設計図はどこで手に入れたのか。そのあたりのディテールがなく、壮大なほら話にしか聞こえないのが難点。うまく家族愛にすりかえているが、少しは科学的・理論的な裏づけが欲しかった。また、打ち上げの様子をまったく記録しないのも首をかしげる。極秘に打ち上げたのならその映像は高値で売れたはず。ロケット広告を思いつくのなら映像配信をやるべきだった。

 チャーリーは一度目は失敗するが、妻の資金援助で2度目の打ち上げに挑戦する。宇宙から見た地球の美しさを堪能するチャーリー。そんな中、宇宙船製作中になくした結婚指輪が出てくるエピソードなど、妻や家族の愛が男のロマンにとっていかに支えになるか、夢を信じる男を家族はどれだけ信じてやれるかが成功の鍵を握っていることがよく描かれていた。ただ、ここまで話が大きくなると、この映画を見たからといってチャーリーのような男になりたいとは誰も思わないだろう。。。

福本次郎

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