友引忌 - 前田有一

怨霊ホラー初級者向き?(30点)

 世界中でそこそこヒットしたホラー映画『ボイス』の監督による劇場デビュー作。この映画のヒットがきっかけで出資者がつき、彼は『ボイス』の製作を実現させた。

 主人公の女子大生は、2年ぶりに再会した女友達からギョンアの霊に追いかけられていると告白される。ギョンアは二人の共通のサークル仲間だったが在学中に自殺している。やがて、かつての仲間たちが、一人一人謎の死を遂げて行くのだが……。

 自殺して成仏したはずの友人が、かつてのサークル仲間たちをあの世に引きずり込むというストーリーから、邦題は『友引忌』(ともびき)である(英語版のタイトルは『NIGHTMARE』)。はた迷惑なバカ友の怨霊物語にはぴったりなタイトルだ。最後に「忌」をつけるあたり、なかなかセンスが良い。これは目を引く。

 撮影中にスタッフに謎のケガ人とやらがでたというお約束のエピソードもあり、韓国では”とてつもなく怖い映画”としてそれなりに話題になったという。

 『ボイス』もそうであったが、この監督はホラーを作るにあたり、かなり音にこだわる人のようである。『友引忌』は、音響演出だけに3000万円の予算(韓国では破格)を組んだというだけあって、時折はっとさせるいい”音”を出している。どうせ見るなら、サウンドにこだわりのある劇場を選ぶと良いだろう。

 さて、私自身は霊だのなんだのは屁とも思っていない人間なので、この手の怨霊系のお話は露ほども怖いとは思わないのだが、それを差っ引いても『友引忌』の怖さはイマイチかと思う。怨霊もの初心者なら怖がってくれるかなとは思うが、日本や韓国製のこの手の作品を見て目が肥えている観客にはどうだろう。

 せめて、プロットの面でもう少しビックリというか、感心させてくれればいいのだが、真相ひとつとっても平凡でトホホである。単純だし、テンポが悪いのも欠点だ。読者の皆さんには、純粋タイプの女の子を誘って怖がらせる計画で見にいく等、各自で上手に利用してくれと言っておこう。

 万が一、途中で退屈した男性諸氏には、出演しているスレンダーな韓国若手女優二人の微乳ヌードが拝めるので楽しんでいただきたい。……どちらも死体役ではあるが。

前田有一

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