劇場版 カンナさん大成功です! - 福本次郎

全身美容整形で美貌に変身したヒロインの「美人生活」をコミカルに描くだけでなく、容姿よりも中味が大切などという建前を根底から否定する。社会における女のヒエラルキーは容姿で決まるというルールは、女が作ったものなのだ。(40点)

 ブタゴリラと呼ばれていた女が、全身美容整形で美貌に変身したらどうなるか。彼女が憧れていた「美人生活」をコミカルに描くだけでなく、容姿よりも中味が大切などという建前を根底から否定する。社会における女のヒエラルキーは容姿で決まるというルールは、男が作ったものではなく、女が自分の立ち位置がどの辺りにあるのか確かめたくて作ったものなのだ。しかし、映画はヒロインの複雑に捩れた気持ちに迫ろうとはせず、ただ彼女を演じる山田優が過剰に科を作った所作と独白でコンプレックスを裏返しにするだけ。もう少し彼女の繊細な心理を描いて欲しかった。

 誰もが振り向くような美人のカンナは服飾メーカーに押しかけて受付嬢になる。そして新ブランドの立ち上げのコンクールに応募し、カバゴリラと呼ばれるありさと共に入選、プロジェクトチームのリーダーに選ばれる。そんな時、カンナの抜擢に嫉妬した社員がカンナの過去を探り始める。

 カンナの主観で見る風景は素人が8ミリカメラで撮った映像のようにピントが甘く色彩が不鮮明。それは、いくら見かけを変えても、ブタゴリラと呼ばれていたころの、世間を直視しない彼女の意識が残っているからなのだろう。ならば、美人にふさわしい心を手に入れていく過程で、彼女の主観も鮮明になっていってもよかったはず。それともただ視力が低いだけなのだろうか。

 時々挿入される毛糸で作ったような人形が演じるカンナの暗い記憶を描いたCGは、非常に温かみがあってメルヘン絵本を見ているよう。その反対に実写部分はカンナのはじけぶりが中途半端で、コメディとしても消化不足。表現方法にアクセントをつけて退屈させないように工夫しているのはよく分るのだが、そもそものストーリー自体が女子中学生向けでまったくリアリティがないのだから、なにかもうひとつ大人の鑑賞にも耐えうる要素が必要だ。重役を演じる浅野ゆう子のシワひとつない目尻も、実は整形だったというくらいのオチは欲しかった。

福本次郎

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