ジュリアン・モーリー&アレクサンドル・バスティロ両監督がデビュー作『屋敷女』から4年後に完成させたホラー映画。(点数 75点)
(C)2011 LA FABRIQUE 2 / SND / PLUG EFFECTS / LA FERME PRODUCTION
母親の自殺によるショックから立ち直るべく訪問介護ヘルパーの職に就き、彼女の指導担当者ウィルソンと古い豪邸を訪れる。
そこには、かつては厳格なバレエ教師だった女主人ジェセルが昏睡状態のままで生かされ、眠り続けている。
この豪邸には彼女が貯めていた財宝が隠されているとの噂を聞き、リュシーが彼氏のウィルにそのことを話すと、ウィルがワル仲間のベンを誘って強盗計画へと発展してしまう。
深夜に3人がジェセル邸に忍び込み、1つだけ固く閉ざされたままの開かずの間を発見し、鍵を入手して扉を開けると、そこには死んだはずのジェセルの一人娘アナがバレエ衣装に身を包んで佇んでいた。これが凄まじき惨劇の始まりであった……。
本作は、吸血鬼の神話を現代風にアレンジしたストーリーと、さらに幻想的かつ詩的な世界観が味わえる映像が特徴的だが、本作の面白さが発揮されるのは、アナが登場してから始まる“惨劇の宴”であり、見せ場となる痛々しくて血生臭い残酷描写が次々と描き出され、残酷レベルも徐々にアップしていく。
ベンの喉下が掻っ切られてドス黒い血が流血し、ハサミを使った激痛感たっぷりのシーンといったグロテスク描写の数々に観る者は思わず絶叫し、目を覆いたくなることだろう…。
だが、そこに美しさをも感じられる幻想的な映像も観られるため、グロと美の融合による不思議な感覚を味わえるのが本作の最大の面白味であると同時に、血みどろバイオレンスを押し出した単純な作品から脱却できた要因でもある。
不思議な余韻を与えるクライマックスにも要注目だ。
(佐々木貴之)