登場人物の感情を説明しすぎたせいだろう。。。 (点数 50点)
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もはや獲物を仕留めるには年を取りすぎ、失敗した挙句に自分の顔を
焼き、最後には血を供して命を絶つ。己で決めた道とはいえ、数十年
にわたって少女に仕えた末に、やっと彼女の一部となって息絶えた男
のすさまじいまでの愛が切なくも美しい。映画は家族や友達に恵まれ
ない少年と少女の外見をしたヴァンパイアとの交流を描く。雪に閉ざ
された町、他人との距離が縮められない者同士の心の共鳴が哀切を帯
びた通奏低音となり、胸を締め付けるような生きづらさを象徴する。
【ネタバレ注意】
オーウェンの隣の部屋に、父娘が引っ越してくる。彼はその少女・ア
ビーと話すうち彼女の表情から底知れない悲しみを感じとる。一方、
アビーの“父”は人間狩りが満足にできず、アビーを苛立たせていく。
アビーの“父”は、実は彼女のために人間の血の採取する世話係。加
齢とともに腕は鈍り、アビーの食欲を満たせられない。オーウェンと
接近するアビーに「もう彼と会わないでくれ」と頼むのは、今や彼女
の気持ちがオーウェンに移りつつあるのを悟った証拠だ。アビーは若
さを保っているがわが身は衰えていく。捨てられる日が近いのではな
いかという恐怖は、酸を浴びるよりも切実な痛みだったに違いない。
しかし、男たちに希望と目的を与えながらも自らは彼らの苦悩を引き
受けるアビーの憂いを湛えた瞳は、彼女の絶望を饒舌に語っていた。
ただ、「ぼくのエリ」ほどのやるせなさを覚えないのは、登場人物の
感情を説明しすぎたせいだろう。。。
(福本次郎)