つらさと憤りで震えがくる映画(70点)
つらさと憤りで震えがくる映画だ。米国とメキシコの国境の町で起こっている連続女性レイプ・殺人事件を、女性記者ローレンが追うが、そこには大国と企業の都合で事件を闇に葬る不条理な現実がある。実話を基にしているが、工場での劣悪な労働の実態がまず酷い。その上、労働力である女性を襲って殺害するとは。しかもそれを事件にすることを許さない社会圧力があるとは。ロペスとバンデラスというラテン系の役者の起用で説得力のある社会派サスペンスになった。結局は権力に屈する米国メディアの実態はやるせないが、この映画が公開されることに意味を見出したい。
(渡まち子)