ホワイトアウト - 小梶勝男

◆ケイト・ベッキンセールの魅力を堪能できるサスペンス。寒さが「凶器」として描かれているのが面白いが、犯人捜しのサスペンスが弱い(68点)

 ホワイトアウトとは、吹雪などですぐ目の前も見えなくなる現象をいう。「南極料理人」と同じ南極の観測基地が舞台で、織田裕二主演の角川映画と同じタイトル。だが、両作とはもちろん無関係だし、まるでムードが違う。人間不信がテーマのサスペンスだ。

 南極の氷原で他殺と見られる死体が発見される。南極観測基地に派遣されていた米国連邦保安官キャリー・ステッコ(ケイト・ベッキンセール)は捜査に向かうが、謎の男に襲撃される。無理やり捜査に加わってきた国連調査員のロバート・プライス(ガブリエル・マクト)は、何か秘密を知っているようだった。6か月続く白夜の前に、基地の隊員たちは輸送機で引き揚げてしまう。事件が未解決のまま、キャリーら数人が基地に取り残され、そこにホワイトアウトが襲いかかる。

 本作の最大の見どころは二つある。その一つがベッキンセールだ。何せ、登場するなり服を抜き捨ててシャワーを浴びる。残念ながら裸は背中しか見えないが、それでも十分に魅力は伝わってくる。戸外のシーンで、フードを被りゴーグルを着けていても、ベッキンセールのクールな美しさは損なわれない。屋内に入って防寒着を脱いだときのスラッとした体の格好良さ。防寒着は「防寒着を脱ぐ」ためにあるといいたくなるほどだ。彼女の魅力が映画を支えているといっていい。

 もう一つの見どころは、氷点下50度という寒さの描写だ。手袋なしでは指が壊死し、防寒着なしでは数分で死に至る。寒さが「凶器」として描かれているのが面白い。ホワイトアウトのシーンもリアルで、体をロープに固定して移動しながら、犯人と格闘するアクションは迫力があった。

 ベッキンセール演じる保安官は同僚に裏切られた過去があり、それが人間不信につながって、犯人捜しにも絡んでくる。裏切りを忘れられず絶望しかけている主人公の心理と、それを象徴するような美しいが荒涼とした氷原の風景、最後の輸送機が出て行って取り残される不安などが重なっていき、クライマックスで猛烈なホワイトアウトとなる。実に巧い構成だが、犯人捜しのサスペンスが弱いので思ったより盛り上がらない。最後に判明する真犯人は唐突で、犯行の動機にも深みがない。ラストは驚くというより、拍子抜けしてしまった。

小梶勝男

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