ベルセルク 黄金時代篇Ⅰ 覇王の卵 - 青森 学

ベルセルクサーガのなかでも好評な鷹の団の活躍を描いた本作はベルセルクファンならば観ておきたいところ。(点数 75点)


(C)三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS

1989年から連載が始まり国内累計2400万部を超えるベストセラーの劇場映画化。

アニメ化は1997年に日本テレビで放映された全25話に次いで2度目。

長大な剣を背負い恃むのはおのれの剣のみと孤独な戦いを続ける剣士ガッツの果てのない旅を綴る一大ダークファンタジー。

今回はガッツの宿命のライバル、グリフィスとの出会いと、傭兵だったグリフィスがミッドランド帝国の貴族に召し抱えられるまでの立身出世を描く。

原作では絶対的な暗黒の力に生身を晒して絶望的な戦いを挑む剣士ガッツの孤独が多くの読者から共感を得ていたと思うが、今作はそのガッツにとってつかの間の安息である鷹の団への参加と盟友との邂逅がストーリーの主軸。

乱世に繰り広げられる中世の戦場描写が生々しく臨場感に溢れている。

城攻めに使う投石機や移動する櫓のような攻城機の動きを見ているだけで合戦の最中に迷い込んだような気分にさせてくれる。

観ているだけで痛みが伝わってきそうな暴力描写は本作が子供を対象にしたものではないことを如実に物語っていて観るにはそれなりの心の準備が要りそうだ。

しかも映画の終盤に正視できない心理的に残酷な描写があって、優しい性格の人にはトラウマになるかもしれないくらい”甘さ”を排したストーリーになっている。

戦闘シーンの描写には製作陣も力を入れているようで、西洋剣術の構えや足さばきを研究し映像に反映させているそうだ。これはおそらく原作には無かった映画のオリジナリティといっても良さそう。

原作ではそのゴシックなタッチが作品世界に大きく寄与していたが、今作ではSTUDIO4℃による独自の3DCGと2D技術で生命を吹き込まれビジュアルとして新境地を拓いている。

休載期間を入れつつも20年以上連載が続いている原作だが、ガッツの絶望的な戦いとそして物語を牽引する数々の謎には読者も魅了されてきたと思う。中世の世界に潜む幽界の魔物が次第にその姿を顕在化させて現実世界を浸食していくさまは、現世が魔とのチャネルを開いたおぞましさを上手く表現していた。

今回の「ベルセルク 黄金時代篇Ⅰ 覇王の卵」ではグリフィスが持つ魔界との接点を開くチャーム、ベヘリットが発動して「触」が起きるまでの比較的”喪失しないリアリティ”の世界で物語は進行するのだが、カルマというべきグリフィスとの絆、戦友との友情とこのベルセルク”サーガ”の中でも希望を匂わせるエピソードになっている。

青森 学

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