プランゼット - 渡まち子

◆53分という上映時間はなるほど短い。だが短いならそれなりの物語を用意すべきで、何もかも言葉足らずになる事態は避けてほしかった(30点)

 往年の特撮映画へのオマージュを込めたビジュアルには個性を感じるが、お話しがあまりにおそまつだ。2053年の地球。宇宙から突如現われた謎の生命体により地球は侵略を受け、人口の大半を失ってしまう。各国の反撃がすべて失敗する中、日本方面軍・富士基地では、人類の存亡を賭けた最終作戦“プランゼット”を計画。ロボット兵器の搭乗員の大志は、仲間と共に敵と対峙することになる。戦いを前に、大志はたった一人の家族である妹こよみを安全な火星へと避難させようとするが…。

 53分という上映時間はなるほど短い。だが短いならそれなりの物語を用意すべきで、何もかも言葉足らずになる事態は避けてほしかった。いきなり最終決戦になる展開や敵の正体が不明なのはまだ許せるとして、主人公の大志のキャラクターがまったく立っていないのがマズい。冒頭の、やる気のないエピソードのイメージを、軍人になった現在までひきずってしまい、家族への強い思いが何も描かれないので、戦いへのモチベーションが伝わらないのだ。これでは主人公に感情移入することなどできない。ヴィジュアルは、白組などが参加しているだけあって、それなりのクオリティだ。人間の皮膚のゴムッぽい感じや、どこかのっぺりとした戦闘シーンは、個人的には好みではないが、昭和の懐かしいアイテムを意識的に散りばめた独特の世界観は面白い。もっとも、父との確執という手垢のついたテーマを盛り込みながら迎えるクライマックスは、主人公が大声を張り上げるだけ。搭乗員の感情でコントロールするという必殺のメカならではの破壊力が見たかったのだが、それも叶わず。記憶に残るのは、富士基地から飛び立つ際に流れる文部省唱歌「ふじの山」風のメロディ。思わずズッコケたが、これもまた昭和レトロへのこだわりなのだろうか。いずれにしてもこのアニメーション、短編でも長編でもない中途半端な長さが敗因と思われる。粟津監督の次回作に期待するしかなさそうだ。

渡まち子

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