◆ポップカルチャーのシーンが何よりも作品に魅力を持たせていると言える。(55点)
1965年のニューヨーク。ポップカルチャーのカリスマ的存在アンディ・ウォーホール(ガイ・ピアース)が設立したスタジオ“ファクトリー”には、様々なアーティストが集まっていた。ある日、ケンブリッジ美術学校を中退し、画家を目指してニューヨークへやってきた資産家令嬢イーディ・セジウィック(シエナ・ミラー)がウォーホールと出会う。ウォーホールが手懸けた実験映画に出演したイーディはたちまちポップカルチャーにおける人気者となるが、繊細かつ不安定な精神の彼女は、ドラッグに手を染めてしまう。そんな中、人気ロックスター(ヘイデン・クリステンセン)と出会うのだが・・・・・・。
アンディ・ウォーホールのミューズ=女神としてアメリカの60年代ポップカルチャーのセレブとしてもてはやされ、その後は人気低下とともにドラッグに蝕まれ、28歳の若さでこの世を去ったイーディ・セジウィックの明暗の生涯を描いた伝記ドラマ。
60年代のファッションが忠実に再現されている点や、ポップカルチャーのシーンが何よりも作品に魅力を持たせていると言える。特にファクトリーの様子やイーディがドラッグに手を染めるシーンで観られる、ドラッグと性交が横行する怪しげで不健康なアングラの世界が目に焼きつくほどの大きな印象を与える。
劇中で描かれるイーディの姿は、華があった頃よりもだんだんと落ちぶれて行く姿の方が全面的に押し出されているような感じがする。
へイデン・クリステンセン扮するロックスターとは、あのボブ・ディランのことである。それよりも存在感が一番大きいのはガイ・ピアース扮するアンディ・ウォーホールであり、一見ナルシスト風でシュールな感じがファクトリーの中の様子と同様に怪しげなイメージを与えているのである。
(佐々木貴之)