ビューティフル・ルーザーズ - 福本次郎

街の看板や落書きまで「アート」として大量に消費されていくなか、自らの感性だけで表現にチャレンジするはみだし者のアーティストたちには、創作の苦悩から解放され、好きなことをやっているという開放感が満ち溢れている。(40点)

 アンディ・ウォーホール以降、アートの商業化・大衆化で街の看板や倉庫の壁に描かれた落書きまで「アート」と祀り上げられて、大量に消費されていく。当然アーティストの数は美術学校で学んだ者だけでは足りず、教育を受けずに自らの感性だけで伝統的な方法とは異なる表現にチャレンジするはみだし者に需要が回ってくる。そんな正統からはぐれた「美しき落ちこぼれたち」にスポットを当てるドキュメンタリー。登場するアーティストたちには創作の苦悩から解放され、好きなことをやっているという開放感が満ち溢れている。ただ、インタビューがきれいごとに終始しているところが物足りない。

 ’90年代、NYイーストビレッジの古ぼけたマーケット跡にオープンしたギャラリーにはストリートを中心とした自称「アーティスト」たちの手になる物が展示される。やがてその評判は西海岸にまで届き、一気にメジャーになっていく。

 彼らの中にはただ心の中にくすぶる感情や思いをキャンバスやフィルムにぶつけているだけというものも多く、有名になることなど元々は考えていなかったはず。登場人物の中のひとりは「“プロのアーティスト”という言葉に戸惑いを覚える」という。評価されるに従い「子供の遊び」では済まされなくなり、成功することで周囲の期待に押しつぶされそうになってしまうのだろう。このあたり、通常の価値観とは違う新たなトレンドを感じさせる。

 ゆえに、もはや訴えたいこともないのに何か意味ありげな作品を発表したりもする志の低いアーティストも散見する。また、それを分ったフリをすることでセンスをアピールしようとする浅薄なファン。東京で開かれた展示会で、来日中のアーティストたちに高額の小遣いを渡して遊ばせるシーンがあるが、訳もわからずカネを使う彼らの姿をありがたがる日本人の姿が映し出される。「NY発」に弱い、自分では流行に敏感と思っている日本人のバカさ加減がうかがえる。玉石混交の中から真のアートとして後世に残る芸術は果たしてここから生まれるのだろうか。。。

福本次郎

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