パーマネント野ばら - 渡まち子

パーマネント野ばら

© 2010映画『パーマネント野ばら』製作委員会

◆自分につくささやかな嘘は、皆が共有するオープンな秘密。そんな設定が納得できる小さなコミュニティの揺るぎない優しさが心にしみる(65点)

 大人の女性たちの恋模様は、可笑しくて、たくましくて、そして悲しい。夫と離婚し幼い娘を連れて出戻ったなおこは、実家で母のまさ子が営む、町でたったひとつの美容室「パーマネント野ばら」を手伝っていた。そこは近所のおばちゃんたちが毎日集まっては男との思い出や恋愛、噂話に花を咲かせるにぎやかな場所である。なおこの友人のみっちゃんやともちゃんも、浮気男や暴力男など、ダメな夫に苦労しながらも明るく生きている。一方、なおこは、高校教師のカシマと静かな恋をしているのだが、そこにはある秘密があった…。

 原作は、作品が続々と映画化されている人気漫画家・西原理恵子のベストセラー・コミック。登場する女性たちは皆、不器用だが心優しい。と同時に、傷ついてもかっこ悪くても正直に生きていくタフな女性たちだ。なおこの友人で、女や金にだらしない甲斐性なしの亭主を浮気相手ごと車でひこうとする激情型のみっちゃんが言うセリフ「どんな恋でもないよりマシやき」は、普通ならかなりイタい状況なのだが、それはつらい現実を笑い飛ばすための、エネルギー補給にも似た、生きていく知恵なのだ。ひと際強烈なキャラは、茶髪のパンチパーマが勇ましい夏木マリ演じる母・まさ子。苦労を自分の中で消化しながらも他者に優しい彼女の存在が、小さな町の中心となって女たちをしっかりと支えている。娘のことも心配でたまらないのだ。実は、なおこと、そっと彼女を包んでくれるカシマとの恋には切なくて哀しい秘密が。だが心に残るのはその秘密そのものではなく、それを周囲が皆で受け入れていることなのだ。自分につくささやかな嘘は、皆が共有するオープンな秘密。そんな設定が納得できる小さなコミュニティの揺るぎない優しさが心にしみるのである。菅野美穂の独特の浮遊感がいいが、原作者の出身地である高知県でロケしたという、港町の風情も魅力的だった。

渡まち子

【おすすめサイト】 
Warning: file(): php_network_getaddresses: getaddrinfo failed: node name or service name not known in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 80

Warning: file(http://www.beetle-ly.net/linkservice/full_nor/group73): failed to open stream: php_network_getaddresses: getaddrinfo failed: node name or service name not known in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 80

Warning: shuffle() expects parameter 1 to be array, boolean given in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 82

Warning: Invalid argument supplied for foreach() in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 83

 

File not found.