パコと魔法の絵本 - 福本次郎

毒々しいまでに原色を強調したセットとCGアニメを合成さてたおとぎ話の絵本のような映像は、あらゆる表現が過剰。コメディとしては笑えず、メロドラマとしても感情に訴えるものが少ないという中途半端な作品になってしまった。(40点)

© 2008 「パコと魔法の絵本」製作委員会

 毒々しい原色を強調したセットとCGアニメーションを合成さてたおとぎ話の絵本のような映像は、ティム・バートンを凌駕するような出来栄えだ。しかし、あらゆる表現が過剰で、結果的にコメディとしては笑えず、メロドラマとしても感情に訴えるものが少ないという中途半端な作品になってしまった。もっと、気難しい老人と薄幸の少女の物語に絞り込み、彼らふたりの交流をじっくりと描きこむべきだった。最初から最後まで、下品なほど派手に装飾されたネオン看板を無理やり見せられているような気分になった。

 病院に入院中の大貫は誰にも心を開かず、他の患者や看護婦・医師からも嫌われていた。ある日、パコという少女と知り合い、彼女が毎日同じ絵本を読んでいることに興味を持つ。パコは交通事故の後遺症で記憶が一日しか持たず、大貫のことも翌日には忘れていた。

 プロローグのフラダンス教室で、いきなり独特の価値観をもった作り物めいた世界に放り込まれる。だが、ここでフラダンスを踊る意味がどれほどあるのだろうか。また、絵本のお話をCGアニメで再現するが、ガマ王子がスクリーンところ狭しと飛び回り、見る者から集中力を奪う。何故ここまで無駄とも思える情報を詰め込むのか。それはエピソードを語るというより、中島監督が持つアイデアと技術の展覧会のよう。自己満足が鼻につき、「すごいだろう」という自慢の押し付けがぷんぷんにおってくる。

 パコと話すうちに、大貫は自分の弱さを認めるほど気持ちに柔軟さが生まれてくる。やがて、パコに何かを残してやろうと、患者と病院関係者で絵本を芝居にする計画を立てる。そこでも、パコのおかげでせっかく他人を思いやれるようになった大貫を中心にすればよいものを、計算された混沌がストーリーの興を殺ぐ。さらに追い打ちをかけるようなエピローグのくどさ。何事も、過ぎたるはなお及ばざるがごとしという故事成語を思い出させてくれた。

福本次郎

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