ジョニー・デップ主演(10点)
昨年7月の全米公開作品『パイレーツ・オブ・カリビアン:デッドマンズチェスト』から然程時期を待たずに公開された『パイレーツ・オブ・カリビアン:ワールドエンド』。正直第1作目の『パイレーツ・オブ・カリビアン:呪われた海賊たち』では映画の最中に頭痛がする程好きではなかった作品なのだが、第2作はよりアドベンチャー的要素が増え楽しむ事ができた。そこに来て第3作目を観たわけだ。
一言で表現するならば、非常に混乱した作品だった。描く事が多過ぎる作品であるのに、それを無理矢理終わらせた感が否めなかった。映画の長さは168分。編集が良くないせいか、この上映時間は非常に長く感じた。わたしとしてはこの作品は2007年公開ではなく、来年くらいに公開して、もう少々編集などに時間を掛けた方が結果的に良かったのではないかと思う。または4部作にまとめるという方法もあっただろう。今作『パイレーツ・オブ・カリビアン:ワールドエンド』は観客にはストーリーをなかなか理解できない人が少なくないのではなかろうか?
今回の作品中、主要キャラのジョニー・デップ演じるスパロウ、オーランド・ブルーム演じるウィル、キーラ・ナイトレイ演じるエリザベスの3人では、エリザベスが一番良かったように思う。スパロウは相変わらずで、このキャラを好きな人はまたの登場にうれしく思った人は多いと思うが、幻覚を見たり不可解なシーンが多く、それが何を意味するのか理解し難い設定であった。ウィルに関しては中途半端さが目立った。活躍したとも言い難いし、3部作の最後にそういう終わり方でいいのか?というシメだった。エリザベスはただ単純に美しさが際立って言う事無し。
わたしが一番失望した場面は、伝説の9人の海賊が招集されるシーンがあるのだが、そこにジャック・スパロウの父親役として、ローリングストーンズのキース・リチャーズがカメオ出演しているところだ。恐らく彼の登場により多くの人はエキサイトした場面だと思うが、わたしにとっては失望でしかなかった。なんというかハリウッド映画俳優のテレビドラマのカメオ出演の様に、驚きだけで、安っぽい映画を観た気分にさせられた。
3部作の映画が製作されるのは近年流行の様にも感じるが、3作目でうまく締められているものは少ない。良かった作品は近年では『ロード・オブ・ザ・リング?王の帰還?』くらいだろうか。『マトリックス レボリューションズ』も『スパイダーマン3』もイマイチだった。3部作の3作目は並々ならぬプレッシャーが製作する側にかかるだろう。製作者の好きに撮ってもあまり成功しないに違いない。良い意味で期待を裏切る様な、鑑賞者とのコミュニケーションのうまくとれた映画を最終章にもってきて欲しいものだ。
(岡本太陽)