バビロンA.D. - 前田有一

ハリウッドマッチョ対決(60点)

バビロンA.D.

© 2008 Twentieth Century Fox

 かねてから映画界に興味津々のK1の番長、ジェロム・レ・バンナは、今回なんと数少ないマッチョスターの生き残り、ヴィン・ディーゼルの主演作で共演し、格闘シーンまで演じるという話題性を提供してくれた。

 荒廃した近未来のセルビア。金で何でも運ぶ凄腕の傭兵トーロップ(ヴィン・ディーゼル)は、モンゴルの修道院からアメリカのニューヨークまで、一人の娘(メラニー・ティエリー)を送り届ける仕事を依頼される。保護者としてついてきたシスター・レベッカ(ミシェル・ヨー)を加え、3人で長い旅に出たトーロップだが、次々と強力な追っ手に襲われる。いったいこの娘の正体はなんなのか。

 批評家からも観客からもそっぽを向かれ、米国ではコケてしまった本作だが、退屈しない程度には楽しめるSFアクションとなっている。

 3人が長距離鉄道でウクライナあたりを移動中、原発の廃墟の近くにクレーターが開いている不気味な風景が出てくる。映像の力のみで世界観を説明していくこうしたやりかたは、シンプルながら迫力があってとてもいい。

 ただの修道女かとおもいきや、じつはめっぽう強いミシェル・ヨーなど、期待通りのサービスも満載。きみんちはカンフー寺か。

 肝心の、レ・バンナとディーゼルのヘビー級バトルの見ごたえも十分。ただ、少々カットを細かく割りすぎていて、せっかくの格闘術がさえぎられてしまっているのは残念。本物の技に裏打ちされたアクションほど、貴重なものはないのだから、もっと素直にみせたらいい。

 マッチョ好きのわがまま処女という、わけのわからないヒロイン像も新鮮でよい。この女の子が端々で見せる、身勝手でぶっとんだ理屈には何度も笑わせてもらった。作り手も役者も大真面目だからたまらない。

 なんとか稼動中の古い原潜が出てきたり、無人機の攻撃をうけたりといった軍事的なアクションも見所。この無人戦闘機がまたじつに愛らしく、戦略性はゼロ、ロボコンなみのおっちょこちょいな戦いぶりに大笑いできる。

 かつて米国の味方(愛国者)だった主人公は、今ではなぜかテロ犯の汚名を着せられている。その彼が、再び米国に舞い戻る。ヴィンつながりというわけじゃあるまいが、なかなか渋い構図である。

 そんな感じで、いくつもの楽しい突っ込みどころがあるし、なによりディーゼルのバルキーな肉体美も味わえる。単純にスカッとしたい人なら、見て損ということはないだろう。

前田有一

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