ハンティング・パーティ - 前田有一

ジャーナリスト3人が踏み込んだ先は……(60点)

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 チベット問題について一貫して中国批判の態度をとり、積極的に発言もしているリチャード・ギアの日本最新作は、その社会派としての面を強調する作品となった。

 かつて人気テレビリポーターだったサイモン(リチャード・ギア)は、放送中にキレて今では酒代にも事欠く日々。一方その相棒の元戦場カメラマン、ダック(テレンス・ハワード)は大出世を遂げていた。あるとき、久々にダックの前に姿を現したサイモンは、NATOや国連が血眼になって探す戦争犯罪人フォックスの居所を知っているぞと、ド級のスクープを持ちかけてくる。

 こうしてかつての盟友は、若きプロデューサー(ジェシー・アイゼンバーグ)を加えた3人で、命の保障などまったくない危険地帯へと乗り込んでいく。無鉄砲な男どもがイケイケでスクープに迫る姿を描く社会派ムービー、ズッコケ三人組のジャーナリスト宣言だ。

 雑誌エスクァイアに掲載された手記の映画化ということで、一応実話という触れ込みになっている。敵の大物フォックスなる人物も、実在のラドヴァン・カラジッチがモデル。カルラのリスト筆頭(同名ドキュメンタリー映画を参照)であり500万ドルの賞金首で、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争における民族虐殺を行ったとされる"極悪人"だ。

 この男の捜索の過程で、3人はCIAに間違えられたり、裏世界の人物と知り合ったり、極秘情報を得たりする。ウラだのヒミツだのばかりなので、実話かどうかは結局のところ3人にしかわからない。危険とスリルはたっぷりだが、真実味はちょっぴりだ。

 とはいえ、映画は耳を切り裂く銃撃・爆撃音と、ユーモアを交えたテンポ良い語り口で、見ている最中はそんな事気にもならない。いずれにせよ「実話だよん」といいながら作者が政治的主張(ほとんどトンデモ)を行う手法は陰謀論の常套手段であり、わかっている人には大いに楽しめるもの。

 内容について特筆すべきは、これも近年のアメリカ映画(本作は米を含む合作だが)の潮流どおり、アメリカの傲慢さを批判した上でイスラムを被害者ともちあげ、理解を示している点か。

 取材の過程についてもそこそこ描かれているので、ジャーナリスト志望の方や肩のこらない社会派映画をお探しの(とくに陰謀好きな)方は、一度見て損はない。

前田有一

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