ナットのスペースアドベンチャー3D - 福本次郎

雑草や金属の質感など、CGのハイパーリアルな風景やマテリアルは人間の視覚が認知する以上のディテールを細密に再現し、3D処理によって立体感を持たせることで実際に物語の世界に迷い込んだと錯覚するほどのクオリティだ。(40点)

ナットのスペースアドベンチャー3D

© nWave Pictures

 雑草が生い茂る空き地、打ち上げられたロケット表面の金属の質感、月面に踏み出す宇宙飛行士の足、管制センターのスイッチ類etc. CGのハイパーリアルな風景やマテリアルは、通常、人間の視覚が認知する以上のディテールを細密に再現し、3D処理によって立体感を持たせることで物語の世界に迷い込んだと錯覚するほど。従来の3D映画でよくみられた動く物体の輪郭が版ズレするような粗さもまったくなく、非常にクオリティの高い映像に仕上がっている。しかし、そこで繰り広げられるのは、なぜか幼児向けの冒険譚。欧米では「アニメは子供向け」という固定観念でもあるのか、日本人にストーリーを考えさせればきっとものすごい作品になったはずだ。

 子ハエのナットは親友のスクーター、IQとともに月に行く計画を立てる。早速宇宙センターに忍び込み、宇宙飛行士につかまってアポロ11号に乗り込み、月までの旅が始まる。

 ハエといえば日本では不潔な歓迎されざる生き物として、見つければ手で払うかハエたたきでつぶすだけでなく、ハエがたかった食べ物を口にするのも躊躇する。 60年代の米国ではそれほど神経質ではなかったのかもしれないが、ハエにとって人間は食料の供給源であると同時に天敵であることに変わりない。だが、この映画では人間とハエは敵対関係でありながらハエが人間が相互に依存する奇妙な距離感。さらに、米国に宇宙開発競争で後れをとったソ連のハエが破壊工作を行い、それを米国のハエが阻止するというあまりにもご都合主義的な展開を見せる。子供は素直に受け入れても、大人には疑問符だらけの設定だ。

 ナットたちはアームストロング船長とともに月面に到達後、無事地球に帰還、世界初の「月に行ったハエ」となって、ハエ界のヒーローになる。ところがここでもアポロ11号の乗組員だった本物のオルドリン元飛行士を登場させて、「実際の宇宙船にはハエも汚染物質もなかった」と断言させるのだ。最後の最後でナットたちの冒険を否定するくらいならば、最初からまったくのフィクションで勝負すればよかったのではないだろうか。。。

福本次郎

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