デイ・オブ・ザ・デッド - 前田有一

ロメロ「死霊のえじき」がリメイク(80点)

 『デイ・オブ・ザ・デッド』は、ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロによる三部作の最終作「死霊のえじき」(85年、米)のリメイクだが、見る際にはその事を真っ先に忘れなくてはならない。最大のウリを最初に無視しろとはとんでもない話だが、どうにも仕方がない。

 ゾンビを手なづけたり銃器を操作したりと多少の影響は見られるものの、原作越えなど下手な期待をすると、あまりに無関係な内容にショック死する。

 コロラド州のある町が、州兵の大部隊により演習と称され極秘に封鎖された。じつは町の中では、謎のウィルスが蔓延していたのだ。やがて感染者はゾンビとなり、人々を襲い始める。地元出身の兵士サラ(ミーナ・スヴァーリ)は、部下の兵士(ニック・キャノン)らと実家の家族の様子を見に行くが、そこで騒ぎに巻き込まれる。果たして彼らは無事脱出することができるのか。そしてウィルス感染事件の驚愕の真相とは?

 世界の終わりを描いたオリジナルに比べ、コロラドのちっぽけな田舎町の終わりを描いた本作。スケールという点では大幅に縮小したが、それなりに予算を組んでいるのでアクションホラーとしてはなかなか。ゾンビはえらいスピードで駆け回り、二階の窓から平気で続々飛び降りて追ってくる。天井だろうが壁だろうが這い回るしつこさは、観客に考える暇を与えずパニックを巻き起こす。

 ヒロインのミーナ・スヴァーリは、アカデミー助演女優賞にノミネートされた「アメリカン・ビューティー」などの出演作で知られる。実家は大金持ちで、州兵なんぞに就職することは絶対にない本物のセレブリティだが、頼りになる女下士官をしっかりキメている。チラシや公式サイトで見られる「志村、後ろ!」と叫びたくなるメインイメージはなかなかユニークだ。

 彼女の相棒?となるニック・キャノンは、いまやマライア・キャリーの旦那さん。予告編でもそんな肩書きになっていて笑いを誘う。

 新『デイ・オブ・ザ・デッド』は、とりわけ新味はないものの、お客さんを喜ばせるツボは心得ている。ド定番、という言葉しか思いつかないが、納涼用途としては必要にして十分。適度にショックあり、スカッとする展開あり。ゾンビものに何のこだわりもない、ライトユーザーには十分お勧めできる。

 ただ、リメイクには関わっていないという御大ジョージ・A・ロメロは、この毒のない内容をみてどんな気持ちであろう。

前田有一

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