ダイ・ハード4.0 - 映画批評なら映画ジャッジ!

◆CGの進化によるアクションシーンの迫力の違いが歴然(90点)
スカッとしたい2009

 30代くらいの人に聞くと、ダイハード第一作目こそアクション映画の最高傑作と推す人が多い。ブルース・ウィリスの出世作となったあの88年の傑作には、確かに文句の付け所がない。今見たら私も100点を献上するだろう。

 だが、この4作目も相当なものだ。コンセプトが違うので単純に比較はできないが、期待すべき点を誤らなければこれだけ面白い映画はそうない。

 久々に会う愛娘ルーシー(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)に冷たくあしらわれたジョン・マクレーン刑事(ブルース・ウィリス)は、本部から近所に住む若いハッカーのマット(ジャスティン・ロング)を連行せよとの指令を受ける。つまらぬ任務に乗り気ゼロで向かったマクレーンだったが、マットの部屋に入ったとたん何者かによる激しい銃撃を受ける。

 このコンピューターオタクの若者と、ローテクオヤジのマクレーンによるバディムービー。どえらいアクションでハラハラさせたあとには、二人の世代&趣味のギャップによる会話で軽妙に笑わせて観客に一息つかせ、次のアクションに備えてもらうという展開。この繰り返しとなる。

 体感的には、8割くらいがアクションシーンじゃないかというような映画。たとえばパート1は、アクションそのものよりも、「ビル内で孤軍奮闘する刑事」という、設定が生み出すサスペンスにくわえ、外部から無線の声だけで支援する黒人刑事と主人公の友情など、男の観客を熱くさせる要素が魅力であった。

 しかし、このパート4に私たちが期待すべきは、ただただアクション、それひとつだ。前作から12年を経た最新作として、その間の映画界最大の進歩であるCGをふんだんに盛り込んだこのコンセプトは、絶対的に正しい。2作目と3作目が凡作に終わり「このキャラクターで1作目以上の脚本は生まれ得ぬのだ」とファンらが思い知ったあとだけに、むしろ素直に楽しめるという面もある。

 どの見せ場も現代のアメリカ映画として最上級の出来栄えだが、とくにトンネル内で車が宙に舞いまくるクラッシュシーンなどは、大画面でみたら背筋が凍る大迫力。ハリウッドの超大作を普段あまり見ない人がもしこれを見たら、仰天して椅子から転げ落ちることになろう。

 おそらく映画初となる最新鋭戦闘機F-35があっと驚くような形で登場するスケールの大きさも楽しい。しかも、そうした豪華な場面を決して引っ張らず、「もうちょっと見たいよ」というあたりで次に移っていくさじ加減も完璧。お金の無い人には、決してこういうことはできない。

 しかも、そのハイテンポで上映時間が129分間もあるのだから、いかに大量にスペクタクルを詰め込んであるかが想像できよう。

 こんな物凄い映画を作れるのはこの地球上でハリウッド以外に無いし、ハリウッドにもほとんどいまい。脚本だとかはもう、どうでもよくなるくらいに凄い。

 その脚本だが、テンポ最重視の割り切りぶりがなんとも笑える。たとえば主人公が「どこそこ州へ移動しよう」というと、即座にヘリの離陸ショットが写り、その次のカットではもう目的地についている。その間わずか3秒、ほとんど笑いを誘っているとしか思えない。

 全米のあらゆる機能を停止させ大パニックを起こす悪役のリーダーに、たいした個性がないというのもいかにも現代の映画らしくていい。いまどきの犯罪映画で、葉巻を吹かす顔が影になったカリスマ的な悪役が出てきたら、マンガになってしまう。アルカイダのようなテロリストだって、まるで草の根市民運動のように、各自ゆるやかな連帯で戦う時代なのだから。

 その代わり、驚異的な身体能力でマクレーンを翻弄するシリル・ラファエリ(「アルティメット」)や、セクシーな格闘家のマギー・Q(「M:i:III」)といった、個性的な中ボスたちが派手に動き回って楽しませてくれる。

 主演のブルース・ウィリスも相変わらず渋い。コンピューターだのハイテクなんぞ屁とも思わず、ただただ持ち前のしぶとさだけで犯人グループに食いついていく。人間、とにかくしぶとくねばってさえいれば何とかなる。個人的にも大いに賛同したい主張である。

 『ダイ・ハード4.0』は、年に1本あるかないかのお祭り的な超大作。しかも、実際の街を舞台にしたリアルな現代劇の中で、とんでもない大アクションを見せてくれる。最近少ないこの手の映画に飢えていた人にとっては、たまらない一本となるだろう。

映画ジャッジ

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