哀しい充足感に満ちたラストが忘れがたい(70点)
死を前に、助けてとつぶやいた主人公を誰が責められよう。だが、彼女自身の良心がそれを許そうとしない。高校内で銃乱射事件が起き、ダイアナと親友のモーリーンは、銃を構えた犯人から殺すのは二人のうちどちらか一人と告げられる。理不尽な暴力のトラウマが、悪夢となって精神を蝕むさまが痛々しい。現実でも頻発する銃乱射事件では、助かるものとそうでないものに何の差もない。ただかけがえのない青春を奪うだけだ。映画は、反抗的な少女だった10代と幸福に暮らす30代のダイアナを交互に描くが、終盤にどんでん返しが待つ。哀しい充足感に満ちたラストが忘れがたい。
(渡まち子)