セブンティーン・アゲイン - 町田敦夫

◆ザック・エフロンが“37歳の高校生”に変貌(70点)

 『ハイスクール・ミュージカル』『ヘアスプレー』で大ブレイクしたザック・エフロンがミュージカルではない作品に初トライ。歌やダンスのシーンなしでも旬のスターのオーラはいささかも色あせず、作品自体のデキの良さも相まって、全米では公開第1週にトップに躍り出た。

  37歳のマイクは出世コースから外され、妻のスカーレットとは離婚調停中。20年前には高校バスケ部のスターだった彼は、スカーレットが妊娠したために、大学進学も奨学金も投げ出して結婚。以来、自分の選択を悔やむばかりの歳月を送っていた。そんなある日のこと、マイクは不思議なできごとをきっかけに17歳の肉体に変貌。これで人生をやり直せると、勇んで高校に戻るのだが……。

  37歳のマイクを演じたマシュー・ペリー(『フレンズ』)のダメダメぶりと、17歳のマイクを演じたエフロンのキラキラぶりがあまりにも好対照で笑わせる。もちろん、体はキラキラになっても頭の中身は中年だから、高校での言動は周囲とずれまくり。脚本のジェイソン・フィラルディは、そんな落差の中から巧みに笑いを拾っている。マイクが実の娘に言い寄られたり、息子の恋路を応援したりするシチュエーションも微笑ましい。マイクの親友であるネッドの、ぶっ飛んだオタクぶりも傑作だ。

  だが、単なるコメディには終わっていないのが本作の非凡なところ。妻子に人生を狂わされたと思い続けてきたマイクは、素性を隠して家族と接する中で、そのかけがえのなさを知る。離婚調停の場で、マイクが歌舞伎の勧進帳よろしくスカーレットへの愛と謝罪を切々と訴え、あえて身を引くシーンは本作の白眉。最後にマイクがオープニングと同じある行動を繰り返すのも、温かな感動を誘う効果十分だ。

  37歳の視点が貫かれたこの「アイドル映画」には、実は隠れた効用がある。様々な悩みを抱えた中高生たちに、世界の広さを、あるいは大人になることのポジティブな意味を教えてくれるのだ。たとえばイジメをする連中は、同じ中高生から見れば厄介な存在であるはずだが、大人の見識と余裕を持つマイクから見ればゴミ同然。一方、かつてイジメを受けていたネッドは、20年たった今、大金持ちになっている。青春時代の悩みなど、その後の人生で経験する喜怒哀楽に比べれば取るに足らないものなんだよね。本作が悩める中高生たちの「心の痛み止め」として作用することを期待したい。

町田敦夫

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