スパイ・バウンド - 前田有一

冒頭のセリフなし追跡劇に引き込まれる(40点)

 フランス核実験への反対運動中だった環境保護団体グリーンピースのクルーザー「虹の戦士」号を、フランスの情報機関DGSEのエージェントがニュージーランド沖で沈めたという、1985年に実際に起きた事件を元に作られたフランス製スパイ映画。

 男が追跡されている。追う側、逃げる側、どちらもプロだと一目でわかる。車での激しい追跡劇、そして銃撃の末、男は射殺された。やがて死体はフランス対外安全保障総管理局(DGSE)に搬送されるが、その体内からは男が死ぬ前に飲み込んだマイクロチップが発見された。

 夫婦を装って船舶の爆破作戦を行う主人公スパイを、ヴァンサン・カッセル(「オーシャンズ12」など)、モニカ・ベルッチ(「マトリックス リローデッド」など)が演じている。現実ではご夫婦のこの二人、映画でもしょっちゅう共演しているが、相変わらず息のあった様子だ。モニカさんなど、ご自慢の巨乳を1シーンだけ披露するというサービスぶり(お約束?)だ。

 『スパイ・バウンド』は、もうすぐ公開となる『ボーン・スプレマシー』(マット・デイモン主演「ボーン・アイデンティティー」の続編)などアクションメインの作品と違って、地味ながらマジメでリアルなスパイ映画だ。冒頭の追跡劇など一切のセリフなしで、音楽と映像だけで相当長いシーンを見せてくれる。このシーンは非常に緊迫感があるので、お客さんは一気にこの作品の世界に引き込まれる事だろう。

 この作品は、このように全編なるべくセリフでの説明を省いた演出がなされていて、少々話の背景がつかみにくいから、見るときはちょいと気合を入れよう。特にスパイものになれていない人は注意が必要だ。

 物語は、普通の暮らしは一生できない宿命にあるスパイ同士独特の絆や友情を描き、彼らが引退する事の難しさ、厳しい現実をも浮き彫りにする。まあ、ヴェールに覆われた情報機関員の話だから、リアリティがあるかどうかなどはわからないが、少なくともリアルに見えることは確か。潜水のシーンでは、実際に軍の特殊部隊や情報部員に使われている泡の出ない潜水具を使用するなど、細かいトコにも気を使っている。

 派手な爆発や銃撃戦といったアクション娯楽映画を求める人には向かないが、有能なスパイならではの知的な行動に惚れ惚れしたい、渋い雰囲気のドラマを見たいという方にはすすめておきたい。最近はスパイものというとお気楽なアクションが多かったから、こうしたシリアスなスパイムービーは新鮮だ。

前田有一

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