シャンハイ・ナイト - 前田有一

徐々に、以前の本物志向に戻ってきている(70点)

 ハリウッド進出後のジャッキーのアクションには、「上手さ」はあれど「凄み」は無いというのが私の思いである。本作のメインアクションは、『プロジェクトA』にオマージュを捧げたと言う時計台ジャンプであるが、これもCGらしき演出効果が目に付き、「凄み」はない。

 同じ時計台からの飛び降りにしても、VFX技術が発達していなかったころ(『プロジェクトA』)のものは、本物の香り、すなわち「凄み」があって迫力が違った。それがたとえスタントマンやトリックを使っているにしてもだ。そう考えると、時代が進むほど、本物を売りにするジャッキーにとっては不利になってきたというわけか。

 ハリウッド・ジャッキーのヒット要因であった『バディ・コメディ』路線も、さすがにマンネリ気味。個人的には、『ファースト・ミッション』のような、ストーリー重視のアクション映画を、莫大な予算をかけて作ってほしいのであるが。

 ただ、『シャンハイ・ナイト』でたくさん披露される、身近な小物を使った小技的なアクションの数々は、もはや芸術の粋に達しており、改めて感服する。コートやカサ、回転ドアや布製の屋根、ただの板っきれやハシゴまで使った、アイデア抜群の動きの数々。簡単にこなしているようにみえるが、実際は何度も何度も失敗し、そのたびに小さな傷を身に刻みながら、最後に成功したものだと言うことが、おなじみのエンドロールでのNG集で掲示される。何度見ても、この職人魂には心を打たれるものがある。

 また、本作でのジャッキーは、共演者に恵まれた。まず、ヒロインのファン・ウォン。彼女の動きは非常に早く、まさにアクション女優といった感じだ。ルックスもかなりいい感じである。香港の大物アクションスター、ドニー・イェンも、わずかな時間ながら、ジャッキーとの素晴らしい格闘シーンを見せている。なんでもない決めのポーズ1つとっても、貫禄が漂うのはさすがだ。

 今回は、極力特殊効果を使わず、肉体によるアクションにこだわったジャッキー。随所にちりばめられた遊び要素も含めて、エンタテイメントへの愛を感じられる一本だ。なんにせよ、彼の主演映画は、とりあえず見ておくのが良いと私は思う。彼はあと何本、このレベルの本物アクション映画を作ってくれるだろうか。

前田有一

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