ザ・バンク 堕ちた巨像 - 岡本太陽

◆実際にあったBCCI・スキャンダルを基にしたクライム・スリラー(50点)

 銀行、それは信用第一の金融機関。その1つで1972年から1991年までルクセンブルグを拠点に営業していた国際商業信用銀行(通称BCCI)がある。彼らは約20年の営業期間の中で世界各国に支店を有していたのだが、91年にイギリス・アメリカの金融当局により営業停止が命じられ金融破綻してしまい、数々のスキャンダルが明らかになったのだ。映画『ザ・バンク 堕ちた巨像(原題:THE INTERNATIONAL)』はそのBCCI・スキャンダルにインスパイアされてエリック・ワレン・シンガーの書いたオリジナル脚本を基に作られた作品だ。

 ヨーロッパを代表する巨大銀行IBBC、経営破綻をした彼らにはマネーロンダリングや武器密輸等の違法行為の疑いがある。捜査のためインターポール捜査官のルイ・サリンジャーはニューヨーク検事局のエレノア・ホイットマンとベルリン、ミラノ、ニューヨーク、そしてイスタンブールへ赴く。命の危険に遭いながら彼らが辿り着く真実とは…。

 本作の監督は『ラン・ローラ・ラン』で一躍脚光を浴びたドイツ人映画監督トム・ティクヴァ。今回彼は現代を舞台にしたクライム・スリラーに挑戦しており、新しい境地をわたしたちに見せてくれる。そして主演は『トゥモロー・ワールド』のクライヴ・オーウェンと『ザ・リング』のナオミ・ワッツ。演技に定評のある2人なだけに、本作は安心して観る事の出来る映画とはなっているのだが、2人の間には化学反応がなく、彼らがエキサイティングな瞬間を共有しないのが残念だ。

 それでもアクション面では注目のシーンがある。それはイタリアの大統領候補暗殺容疑の掛かった男(ブライアン・F・オバーン)を追ってサリンジャーがニューヨークにあるグッゲンハイム美術館を訪れる時。螺旋状の内装が有名なその美術館は戦場と化し、入場客を巻き込んでの銃撃戦に突入する。これは本作のクライマックスであり、美術館が蜂の巣になっていく様は圧巻だ。

 世界中を股に掛けてのスリラーと言う点で、本作はジェイソン・ボーン・シリーズを彷彿とさせるだろう。しかしながら、サリンジャーは特にマーシャル・アーツのエキスパートというわけでもなく、アクションは至って控え目である事が物語にメリハリを持たせていない。またそれがクライムスリラーのわりにはハラハラさせてくれない原因でもある。

 銀行がきっと裏で何か汚い事をやっているのはそんなに驚くべき事でもないだろう。この映画で描かれている様なスキャンダラスな事が実際にあったとしても、それを映画として描くと、どこかで見た事ある様な物語になってしまい新鮮味に欠けてしまう。良い俳優を起用しているだけに中途半端な気持ちにさせられる映画で、もっと怖?い内容だったら見応えがあっただろう。

岡本太陽

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