間抜けな主人を懸命に守るしっかり者でけなげな愛犬(70点)
おなじみのテーマソングが流れるだけで嬉しくなる。発明家ウォレスと愛犬グルミットは、パン屋をはじめたが、街では“パン屋連続殺人事件”が起こっていた。呑気なウォレスはCM女優に夢中になるが、グルミットは主人の危機を感じ取る。このクレイ・アニメの魅力は、絵柄の可愛らしさと共に、間抜けな主人を懸命に守るしっかり者でけなげな愛犬という構図の面白さだ。物語はサスペンス・コメディだが、終盤には手に汗握るアクションも。クレイ・アニメにしてこのスピード感は驚きだ。名作SF「エイリアン」やヒッチコック作品を連想させる、映画へのオマージュがニクい。ひと言もセリフがないグルミットの表情の微妙な変化や、凝りに凝った小道具など、見所満載。過去3作品も同時に公開され、一気に楽しめるまたとない機会である。
(渡まち子)