アサルトガールズ - 福本次郎

◆巨大ウナギのような怪物を追って荒涼とした砂漠を放浪する1人の男と3人の女。映画は、怪物狩りで本来の闘争本能を満たそうとする未来社会の人間たちの本性を赤裸々に描く過程で、ひたすら銃器をぶっ放す開放感を追い求める。(50点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 荒涼とした砂漠を放浪する1人の男と3人の女。重武装した彼らは、体長100メートルは優に超え、砂の中と地上を自由に行き来する巨大ウナギのような怪物を追っている。映画は、怪物狩りで本来の闘争本能を満たそうとする未来社会の人間たちの本性を赤裸々に描く。その過程には、「愛」とか「仲間」とか「勇気」が人生にいちばん大切だという手あかのついた主張や、争いの果てに得るものなど何もないなどという教訓はない。ただひたすら怪物に向かって銃器をぶっ放す開放感を追い求めるところが潔い。

 グレイ、カーネル、ルシファー、イェーガーの4人はスナクジラという怪物を倒してポイントを稼いでいる。グレイはゲームマスターから、大物スナクジラ「マダラ」を倒すために4人の協力体制を求められる。

 冒頭、冷戦後の多極構造、技術革新によるバーチャルリアリティと体感ゲーム機の進歩、さらにゲーム中毒になった者が虚構の中に見出す現実といった前講釈が英語で語られる。ここは、ことさら難しい言葉を羅列して単純な内容を複雑に見せる相変わらずの「押井守節」で、かなりの忍耐が必要。まあ、言いたのは、世の中平和になった代わりに暴力的衝動を発散させる高度なゲーム機が生まれ、その世界から抜け出せなくなる者が後を絶たないということ。理屈っぽいナレーションに物語はどこに向かうのか心配したが、案外あっさりとハンター対スナクジラの事象だけを追うのでほっとした。

 途中、グレイとイェーガーが対立、決闘で勝負をつけようとするが、グレイの5連勝。負けるたびにイェーガーは死に、その都度ゲームマスターによって命を与えられる。並の映画ならそこで命の尊さを学ばせようとするのだが、何度も生き返らせて、逆にゲームの中の出来事であることを強調する。4人は最終的には「マダラ」を倒し次のステージへの権利を手にするが、そこで得られるのは努力と工夫の果てに勝ち取った達成感より、とりあえずクリアしたチープな充足感。所詮はゲームという割り切りのおかげで、壮大な視覚的効果を楽しむことに専念できた。

福本次郎

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