ものすごくうるさくて、ありえないほど近い - スタッフTOMOKO

「泣けた」という声が多い本作、泣けるかどうか、ご自身で映画館に足を運んで見てほしい。(点数 78点)


(C)2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

夫が、この映画を見て、「ものすごく泣けた。見た方がいいよ」
と勧めてきた。
私は、泣ける映画は嫌いではないので、すぐに出かけてみた。

結論から言うと、私は、1滴も泣けなかった。
私にとっては、この映画はまったく泣ける要素のない映画だった。

だから、「泣ける映画なんだ」と思って見に行かない方がいい。
その期待を持っていくと肩すかしを食う可能性がある。

でも、泣く、泣かないに関係なく、映画としては興味深い作品だ。

映画を見て「面白かった」「つまらなかった」「泣けた」「笑った」
というのは、きわめて主観的な感想であり、
映画というものは、10人いれば、10人それぞれの感じ方がある。

もっといえば、同じ人物が同じ映画を見ても、その時の感じ方は、
その日の感情や状況などに左右される。
だからこそ、映画は面白いし、私は同じ映画を何度も見るのが好きだ。

映画の感想は、その時のその人の心象風景を表すとも言える。
たとえば恋愛中などでセンチメンタルな気分で映画を見れば、
主人公の心模様に同調して、ちょっとしたシーンにも
涙をこぼすこともあるだろう。

さて、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」は、
役者陣の演技が見事である。

主人公は、アスペルガー的な少年で、常に落ち着きがないが、
それを父親であるトム・ハンクスが、温かく見守り、
子供としてではなく、対等な仲間として一緒に時間を過ごす。

父親の出番は少ないが、911の事故に巻き込まれた彼の
留守番電話に残したメッセージが、刻一刻と死に近づいている、
切羽詰まった感じを表している。

母親のサンドラ・ブロックも、途中までは、夫の悲劇にうろたえる
普通の母親として描かれているが、終盤で、息子との関係性が
明らかになるにつれ、この映画のタイトルにふさわしい母親役を演じている。

何よりも味があって素敵なのは、少年の祖父(らしき人物)である、
マックス・フォン・シドーだ。
彼の演技が、いちいち素敵なのだ。

あるときから言葉を話せなくなった彼は、筆談で相手とコミュニケーションを
取るが、少年との筆談のやりとり、そして、少年との距離感の取り方が絶妙なのだ。

そういう意味では、向かいのアパートに住む祖母も魅力的だ。
少年と深夜でもトランシーバーで会話の相手をするやりとりも、
彼らの中では、自然なこととして表現されているが、
少年をめぐるすべての家族が、彼を適切な距離感で温かく見守っている。

それを、少年は気付かず、父親の喪失感を埋めるべく、残された鍵を手に、
その鍵穴を探す旅に出るのだが、その旅を通して、彼はいろんなことに気付く。

家族たちが、どれだけ少年の身を案じ、遠くから温かく見守っているかを。
父親の喪失感を埋めるべく鍵穴を探しまわる少年を、何も言わずに見守る母親。深夜でもトランシーバーに応答する祖母。
祖母の家の間借り人だと言い張り、筆談をしながら旅につきあう祖父。

家族をテーマにしたハートウォーミングなストーリーを、
変化球で見せる本作は、一見とっつきにくいが、終わったあとに
うまくできているなと思わずにはいられない。

私の夫や友人たちには、「泣けた」という声が多いが、
この映画を見て泣けるかどうか、ご自身で映画館に足を運んで見てほしい。
見て損はない映画である。

スタッフTOMOKO

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