観終わった後は気持ちが温かくなる(70点)
ルコント流の友情の定義が堪能できるヒューマン・ドラマ。自己中心的な美術商のフランソワには本当の友人がいない。さして気にもしていなかったそのことで仕事仲間と口論になり、“親友”を作る賭けをすることに。気のいいタクシー運転手ブリュノから人に好かれるコツを伝授される姿が可笑しくも切実だ。主人公が、友情の本当の意味を知るには苦いレッスンを受けねばならないが、終盤のサスペンスフルな演出が素晴らしく、観終わった後は気持ちが温かくなる。もっとも、愛情ではなく友情で“すべてを犠牲にする”設定は、仏映画だけに、現実味に欠ける気がしないでもない。
(渡まち子)