エネルギー問題がとりざたされる今、もう一度観たい。関西電力黒四ダム工事の実録映画。(点数 75点)
©1968 石原プロモーション
1968年邦画が斜陽に向かい始めたころ、スタープロダクションの三船、石原プロが提携、当時としては破格の3億9千万、現在に換算すると13億2千万超の巨費が投じられました。
大手建設会社技師の三船敏郎が下請け会社員 石原裕次郎らと力を合わせITのない時代に人知・機材・情熱をかたむけて破砕帯の難関を突破するさまは鳥肌もの。ついに工事用トンネルを貫通させダム完成をみるまでの人間ドラマ。
エキサイティングな熊井啓演出は見事で、特に出水に苦悩するトンネル工事のモブ・シーンが記憶に残ります。
☆以下公開当時のプレスシートより主演お二人の言葉を抜粋いたします。
求めて苦労しようとは思わぬ。しかし人間は求めてでも苦労しなければならないときがある。この作品を作るにあたって、いろいろな障害があった。われわれは、それを涙しながらはねのけた。そして、そのはねのけたエネルギーをそのまま作品のなかにぶっつけた。
実に爽快だ。二十数年の映画生活のなかで、これほど映画をつくる誇りと喜びを感じたことはなかった。—–三船敏郎
三船先輩、その他の大団結によってやっと陽の目を見たこの作品を、ボクはこよなく愛しています。愛しているまず第一は、この作品は、われわれ日本人でなければ作れなかった大事業でした。右翼的な意味でなく、ボクは「大和魂」の偉大さに打たれました。この偉大なる日本人の大ドラマを演ずるのは、俳優冥利につきましょう。—-石原裕次郎
■1968年 日本映画/上映時間:195分/監督:熊井啓/原作:大木正次/出演:三船敏郎、石原裕次郎
(中野 豊)