魔界転生 - 前田有一

◆演技、シナリオ、アクション、全部ダメ(20点)

 窪塚洋介と佐藤浩市主演の時代劇SF。『バトルロワイヤル』の深作欣二監督が前に作った同名作品のリメイクになる。

 プレス用パンフも豪華だし、映画本編もCGをたくさん使っていて、邦画にしてはかなりお金をかけた作品と思われる。GWの目玉として、満を持して出してきた、ってところだろう。

 しかし、それにしてはずいぶんと思い切ってはずしたものだ。これが現在のエンターテイメント邦画の実力だとしたら、あまりにも悲しい。

 役者たちも、佐藤浩市はいいものの、窪塚くんの稚拙なセリフまわしには思い切りしらける。脚本も、天草四郎の目的が最後まで意味不明で首をひねる。キミは、結局何がしたかったのだ?といいたくなる。

 またこのシナリオは、

 転生→十兵衛に挑戦→負ける→次の奴が転生→十兵衛に挑戦→負ける

 の単純な繰り返しに過ぎず、あまりに単調だ。

 こういう対決ものの場合、たとえば一人魔界から刺客がやってきたら、まずはそいつの強さを観客に示す事が必要になる。剣豪10人をあっという間に倒すとか、そういう前座がないと、主人公の十兵衛とそいつの一騎打ちは盛りあがらないものだ。

 なのにこの映画は、転生したら即十兵衛との対決。で、主役だから当然十兵衛が勝つ。その繰り返しである。そのうち、魔界からわざわざやってきて10分で切り殺される化物たちに、キミたちはバカですか? といいたくなる。。

 しかも、大ボスの天草四郎ときたら、しち面倒くさいプロセスをふんでようやくの思いで生み出した魔物たちを、十兵衛に一人ずつ差し向けて犬死させるだけ。

 せめて全員揃ってから同時に差し向けろよ! と思うし、それ以前に一介の武士である十兵衛なんぞ殺して何になるんだ? という疑問が、最後まで晴れない。

 唯一誉めてあげたいのは、冒頭の島原の乱の城塞攻めのシーン。ここは、相当気合を入れて作ったらしく、かなり迫力がある。ただ惜しむらくは、ここで全予算が尽きたのか? と思うほど、その後の見せ場のスケールが小さいということだ。

 なおこの作品は、歴史の知識が多少でもある人向け。少なくともここに出てくる剣豪の名前くらいは知らないと、ただでさえ少ない楽しみが半減する。

前田有一

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