隣の家の少女 - 小梶勝男

◆実話に基づく米国版「女子高生コンクリート詰め殺人事件」。ひたすら不快な作品で、見るには覚悟が必要だ(54点)

 1960年代、米インディアナ州で起きた少女監禁陵辱事件をモチーフに、ジャック・ケッチャムが執筆した同名のベストセラー小説の映画化だ。

 1958年、交通事故で両親を亡くした姉妹が伯母の家に引き取られるが、頭のおかしい伯母とその息子たちに虐待される。最初は怒鳴られたり、食事を与えられなかったりするだけだったが、次第にエスカレート。ついに姉は地下室に監禁され、あらゆる虐待を受ける。それを隣家の少年の視点から描く。

 監督がグレゴリー・W・ウィルソン、虐待される少女にブライス・オーファースと、ほぼ無名のスタッフ、キャストだが、よくあるキワモノのような稚拙さはない。映像も俳優たちの演技もしっかりしている。部分的には詩的といってもいい場面もあった。しかし、虐待の内容にはげんなりしてしまった。

 縛り上げて全裸にすることから始まって、タバコの火を押し付け、ナイフで皮膚を切り、針金で腹に侮蔑の言葉を書き、集団で殴り蹴り、レイプし、股間をバーナーで焼く。陰惨な描写がどこまでも続く。日本の女子高生コンクリート詰め殺人事件のような出来事が、米国にもあったということだろう。余りに不快で、途中で何度も見るのを止めたくなった。

 隣家の少年は少女に恋心を抱いていたため、心を痛めるが、結局は虐待の傍観者になってしまう。その心理はきちんと描かれていて、納得も出来る。だが、この作品を誰に、どのように勧めればよいのか、私には分からない。エクスプロイテーション映画としても陰惨過ぎる。例えば「イルザ ナチ女収容所 悪魔の生体実験」(1974)のような映画なら、悪趣味ではあるが、残酷な虐待場面も笑って楽しめる。映画らしいファンタジーであると最初から分かっているし、虐待の描写もあり得ないバカバカしさで、リアルではない。娯楽として受け止めることが出来る。

 しかし、本作は実話に基づいており、笑える要素は一切ない。それに、日本の同様の事件をどうしても思い出してしまうのである。

 「女子高生コンクリート詰め殺人事件」にはかつて、大変な衝撃を受けた。一種のトラウマといっていいかも知れない。あの事件から人生観が変わった部分もある。いろんなことが信じられなくなってしまった。

 だからこそ、あの事件があったことは忘れてはいけないと思う。事件を描いた「コンクリート」(2004)は、一時、公開中止になったが、見たくないものに蓋をする態度は間違っている。その意味では、本作にも見る価値はあると思う。

小梶勝男

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