陰謀の代償 - 福本次郎

いつしか悪習に染まっていく主人公が哀しい。(点数 50点)


(C)2010 SONOPRODUCTIONS, INC.

遠い昔に記憶から消去した過去が、思わぬところから蘇ってくる。関
係者の口はすべて封じているはずなのに、告発者は姿を見せぬまま付
きまとってくる。根底にあるのは警察に対する敵意と警戒心。映画は
警察と一般市民の蜜月関係が終わった’02年、貧困層生活地域に勤務
する制服警官が味わう苦悩を再現する。もはや正義や良心なといった
理想はなく、組織の体面を保つために汲々とし、地位にしがみつくた
めに犯罪者ではない市民にまで銃を向ける警察の腐敗。そしていつし
か悪習に染まっていく主人公が哀しい。

警官のジョナサンは犯罪多発地域に異動、上司のマリオンから地元新
聞が始めたキャンペーンをやめさせるよう命令を受ける。記者が扱う
のは、16年前にジョナサンが関係した2件の殺人事件だった。

マリオンがジョナサンを部下にしたのは、要するに告発状を書いた人
間を探しだして始末させるためなのだろう。時に脅迫めいたメッセー
ジを送って彼を監視し、警察の威信を傷つける記事をつぶそうとする。

ジョナサンは、事件以後縁を切っていた公営住宅に戻り、昔の知人た
ちと再会する。その過程で、知的障害があるがたった一人の親友だっ
た男に疑いの目を向けてしまうジョナサン。そこには21世紀になって
も一向に解消されない貧困と、むしろ広がった格差といった社会問題
が凝縮され、公営住宅の住民の暮らしぶりは同じNY市民なのにのどか
なスタッテン島に住むジョナサンと好対照をなしていた。

福本次郎

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